医療の現場では、すでに第6波に向けて準備を進めています。
画像: ワクチン2回接種も…ブレークスルークラスター発生の病院 「症状出ずに知らない間に感染広まる」 静岡・焼津市

小林雄副看護部長:「この奥から陽性患者さんの対応をさせてもらっています」

 静岡県焼津市にある甲賀病院。第5波の感染爆発期において、最大18床設けたコロナ患者用のベッドは一時満床に。この日までに患者はすべて退院し、コロナ患者を受け入れる専用病棟の内部を、許可を得て取材することができました。

入院患者がいない今、設備改修

画像: 入院患者がいない今、設備改修

 患者がいなくなった病棟で行われていたのは、設備改修のための工事です。

原川朋華記者:「甲賀病院では、コロナ病棟に患者がいないこのタイミングで病室にモニターを設置する工事などが行われています。モニターを設置することで患者の様子が、こちらのナースステーションのモニターからみられるようになるということです」

 これまでコロナ病棟の患者の様子をみるためには病室に行く必要がありましたが、今後は病室内のカメラの映像を病棟の外にあるナースステーションから確認できるようになります。
 
 民間病院が取り組む、第6波への備え。その背景にあるのは、第5波での経験でした。

小林雄副看護部長:「院内でクラスターが発生したときに各病棟から陽性者をこちらに移動させて、奥の2床が陽性者の部屋だったが、拡充してこのフロア全域を感染した患者さんに入ってもらって、あそこで仕切って隔離対応としていました」

「知らない間に感染が広まることも」

画像: 「知らない間に感染が広まることも」

 甲賀病院では8月下旬にクラスターが発生。その感染者は職員5人、患者20人とあわせて25人となりました。感染が広がった現場では何が起きていたのでしょうか。

甲賀病院 甲賀啓介院長:「ワクチンを打っている方が多くいるので症状が出なくて、どの時点で感染が起こったかを突き止めるのが難しい。知らない間に感染が広まることがあった」

 感染した25人のうち19人はワクチンの2回接種を終えていて、まだ1回も接種していない人は1人だけでした。

 いわゆる『ブレークスルー感染』によって、クラスターが発生したのです。

甲賀病院 甲賀美智子理事長:「こんなに広がってと。PCR検査が陰性でも感染していない証拠にはならないということ。それからワクチンを2回打っていても感染しないことにはならないということです」

ワクチン接種した患者は症状が出にくく、繰り返し検査

 クラスターが起きたのはコロナ病棟ではなく一般病棟でした。新たに入院患者を受け入れる際にはPCR検査で陰性を確認していましたが、結果として院内での感染拡大を抑えることはできませんでした。感染経路は今もわかっていないといいます。

画像: ワクチン接種した患者は症状が出にくく、繰り返し検査

 「感染症対策本部」として使用していた部屋に、当時の様子が残っています。

甲賀病院 渡辺学医療技術部長:「こちらが1日のその日に行ったことや状況を書くボード。1つの病棟で(新型コロナ)患者が出たときに陽性になった日と3日目、7日目、10日目ということで検査を行っていきます。3つの病棟で(感染者が)出たので、日替わりできょうはどこの病棟を検査するというのが分からなくなるといけないので、こちらに落とし込んであった」

 ワクチンを接種済みで抗体をもっている患者は症状が出にくく、ブレークスルー感染が大半を占めたクラスターへの対応をめぐっては、日をあけて繰り返し検査する必要があったといいます。

 県が派遣する感染症対策チーム「FICT(フィクト)」の指導のもと、現場での感染対策も見直しました。業務過程において医療スタッフがアルコール消毒を行う回数を増やしたことで、消毒液の使用量は以前の3倍にもなったそうです。

ワクチン接種した患者は重症にはならなかった

 9月5日に3人の陽性が判明したのを最後に感染者は確認されておらず、甲賀病院は9月20日にクラスターの収束を宣言しました。  一連の感染の広がりで、亡くなった人はいなかったということです。

 県内で1日の新規感染者が600人ほどだった当時から一転し、感染が落ち着いている状況に院長は―

甲賀病院 甲賀啓介院長:「急速に感染者が減ってきているところの科学的な説明が誰もできていないと個人的に思う。減っていることはうれしいが、裏を返せばまた急速に増えることがなぜかと言えないところなので、解除そのものは市民としてうれしく思う一方で、医療従事者としては第6波に備えた準備が必要だと考えている」

 ブレークスルー感染によるクラスターを経験した焼津市の甲賀病院。その医療現場が訴える、第6波に向けて必要な対策とは― 。

甲賀病院 甲賀啓介院長:「ワクチン接種はすごく大事だと思います。実際に院内のブレークスルー感染の患者さんを診たときに重症になる方がいなかったので、それは診る我々としても患者さんとしてもすごく大事なことだと思います」

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