【特集・土石流からの再起】地域とともにレストラン再開へ 女性店主4カ月の歩み 静岡・熱海市

静岡県熱海市の大規模な土石流災害の発生からきょうで4ヵ月。被害が大きかった逢初橋近くでレストランを営む女性。レストランはいまだ再開できていません。それでも地域のために歩みを進める女性の4カ月を取材しました。

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【特集・土石流からの再起】地域とともにレストラン再開へ 女性店主4カ月の歩み 静岡・熱海市

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発災から4カ月…レストランの扉は閉まったまま

伊豆山地区で薬膳料理専門のレストランを営む西川駒子さん(52)。山菜や根菜を使った色とりどりの料理。玄米やもち麦など19種類をブレンドしたお米が店の売りです。レストランの扉は閉まったまま。土石流災害の発災から4カ月が経ちました。

7月3日発災 翌日西川さんは…

7月3日、熱海市伊豆山地区で発生した大規模な土石流。26人が亡くなり、いまだ1人の行方が分かっていません。発災5日後、7月8日。西川さんは、レストランの様子を確認していました。

免疫薬膳料理 駒子レストラン 
西川駒子さん:「何もなかったので守られているなと思って感謝しています」

 レストランの中は大きな被害はなかったものの、土砂が流れ込んだ入り口付近はこのありさま。休業を余儀なくされました。

西川さん:「危険地区である以上はお客様を呼ぶことはできない。ここで今できることをしたいなと思う。皆さんに食事を届けたりとか今出来ることを全力で務めていきたい」

 発災翌日から西川さんは、いちばんの売りのお米でおにぎりを作り、避難所へ届けました。さらにボランティアとしても活動し、かんぴょう巻きをスタッフに差し入れました。

ボランティア 
高橋一美さん:「嬉しい。かんぴょう巻きだけど違う味だった。なんともいえない。ありがとうございます。ご馳走様でした」

コロナ禍で休業、再開も…

去年1月、伊豆山地区に店を構えた西川さん。ここ伊豆山の海と山…その景観にほれ込みました。しかし4カ月後、新型コロナの影響で1年間休業することに…。
 今年6月営業を再開しましたが、直後に土石流災害が起きました。発災からの月日。一時レストランを再開しましたが…。

西川さん:「雨漏りがして上から水が落ちてきて、いま天井に穴が開いている状況が現状あるんですけれども、それによって食器棚とかも、水でちょっと緩んでしまっているので」

 雨漏りの影響は厨房だけでなく、お客さんの食事スペースにも。

西川さん:「お客様から見て、ここはお店の顔だって思って作って凄いこだわった場所だったので、そこがちょっと色褪せちゃってるっていうのは、やっぱり来ていただいたお客様に申し訳ないなと」

 修理には総額500万円がかかります。

発災から2カ月半での取り組みとは…

発災から2ヵ月半。西川さんはすぐ近くにあるガラス工房と“ある取り組み”を始めることにしました。

ガラス工房 スタジオイイロ 
大東健太さん:「基本的には使うガラスが透明なのでガラス、あのそのままきれいにガラスの透明感を生かしたものを作ろうというところ。実は1箇所だけちょっとだけ止まるように出来ているので転がりすぎず、使いやすさと」

 売りの「お米」とガラスの「箸置き」をセットにしたギフトを作りました。

西川さん:「見た感じがすごくこうなんというか綺麗だし、なんか食事がおいしくなる。品がありますよね」

 ギフトはインターネットで販売しています。

住民に支えられ12月に再開予定

地元住民:「災害があってから、こういうの見ると尚嬉しいよ。災害で一時なかったでしょ。あの時寂しくてさ。いられなかったの。落ち着いたら、こうやって来るとね。昔より。(賑やかなほうがいいよね。)(当たり前だったのが、一回ゼロになって戻ってきたのがありがたいよね。)頑張って。(ありがとう、いってらっしゃい)」

 ゆっくり、ゆっくり、一歩ずつ…。レストランは12月初めに再開する予定です。ほれ込んだ伊豆山地区。発災4カ月。これからも地域とともに…。

西川さん:「自分が今できること、今生きて被災している方々のお気持ちは分からないんですけれども。何かお役にたてることを考えて毎日過ごしていきたい。伊豆山の心、皆さんの心が穏やかに過ごせるようになる日が来てほしい」