臨時議会前日に何が… 不信任案の提出見送りへ 静岡・川勝知事の「コシヒカリ発言」問題

静岡県
川勝平太知事:「あちらにはコシヒカリしかない」

画像: 臨時議会前日に何が… 不信任案の提出見送りへ 静岡・川勝知事の「コシヒカリ発言」問題 youtu.be

臨時議会前日に何が… 不信任案の提出見送りへ 静岡・川勝知事の「コシヒカリ発言」問題

youtu.be

 川勝知事の進退問題に発展した「コシヒカリ発言」。24日の臨時議会で注目されるのが、知事不信任案です。提出されれば静岡県議会として48年ぶり、可決されれば県政史上初めてです。

不信任案可決には4分の3以上の賛成が必要

Q:現状としては4分の3以上の賛成には届きそうか?

自民改革会議 
野崎正蔵代表(きのう):「我々としては最大限努力していく」

 不信任案可決のためには、4分の3以上、県議51人の賛成が必要です。逆に言えば4分の1以上、17人が反対すれば否決されます。〝知事与党〟と言われる「ふじのくに県民クラブ」には県議17人が所属しており、この17人がまとまって反対すれば、不信任案は否決できるのです。つまり焦点は、ふじのくに県民クラブから造反者が出るか出ないかです。

「知事与党」には切り崩し工作も

きのう議員総会を開いた「ふじのくに県民クラブ」。所属県議たちは、自民側から賛成に回るよう働きかけや切り崩し工作の「波状攻撃」を受けているといいます。

ふじのくに県民クラブ 
中沢通訓副会長(きのう)「自民党から波状攻撃を個々にやっていると伝わってきたので、結束を固めるために再度それぞれの情報交換を行った」

Q:波状攻撃と言ったが、どういった波状攻撃があったか?

中沢副会長:「手を替え品を替えの波状攻撃。幸か不幸か、その模様はある議員にきたことは全てテープに録っているので、然るべき時に提供することもあるかもしれない。当然、固有名詞が出てくるし、どういう方がうちの議員にどういう言葉を言って、勧誘したのか、逐一報告ができるでしょう。テープを録ったのは1人だが、他にも攻めてきたところはある」

Q:そんなことでひっくり返ることはないという確認は取れている?

中沢副会長:「はい、そうです」

 あすの臨時議会に向け、激化する水面下の多数派工作。関係者によると、ふじのくに県民クラブは無記名投票になった場合は、議場の席で投票用紙に「反対」と書いたか、隣同士で確認し合うことも申し合わせたといいます。

「知事が退任すれば県民の安全が守られない…」

それでは、会派としてなぜ不信任案に反対するのか、次のように説明しました。

佐野愛子会長:「知事の不規則発言については、会派としても大変遺憾に思い、それは不適切な内容だったと認める。しかし否決をする理由としては、知事が発言を撤回した。心より県民の皆様にお詫びしている。6月に知事選を終えたばかり。そして圧倒的な県民の信頼、負託を受けている。ですので今回の事を反省した上で、今後残された任期をしっかり県政発展のために尽力していくことが本筋だと考える」

 佐野会長はさらにこう付け加えました。

佐野会長:「15億数千万円の選挙費用がかかる。この時期に選挙を行うこと、それは県民が望んでいないことだと私どもは考えている。知事はこれまでリニア中央新幹線建設に関する水の問題、体を張ってJRや国に対して物申してくださっていた。ここで知事が退任することがあれば、静岡県の県民の安全は守られなくなってしまうという危惧もある」

 一方、知事を支える会派として、知事の謝罪が遅れた責任を問われると…。

中沢副会長:「私たちは、それが万全でないことは事実です。当然お互いに温度差があるので、私どもは最大限努力している。知事も気がついた時は最大限努力した」

Q:努力は?

中沢副会長:「してましたよ。だから、できるだけの努力はしてました。それに対して批難されるなら批難されて結構です。私どもはしてました。どこの時点であなたがしていないというなら、具体的に言ってください。具体的に」

Q:一回会見開いた時に、知事は執拗に「これは誤解だ、誤解だ」ということで 謝罪がなかったと思うんです

中沢副会長:「そのときも わたしどもは(努力)しましたが、まさかああいう形で会見になるとは思っていなかった」

Q:そこは後手後手でないかと思うが?

中沢副会長:「子どもに言っている答案用紙とか、模範解答を渡してこれを読みなさいということではないので、大人と大人の付き合いだから。それはあなた方だって分かるはずですよ。私たちは知事を使っている立場ではない」

一転、不信任案提出の見送りへ

そして、きょう大きな動きがありました。静岡市内のホテルで、最大会派・自民改革会議の議員総会が開かれました。不信任案提出に慎重な意見が出されたということです。

画像1: 一転、不信任案提出の見送りへ

 議員総会終了後、野崎代表は苦渋の表情を浮かべていました。一体何が起きたのでしょうか。

Q:明日の不信任案可決に向けた決意は?

野崎代表(午前11時半ごろ):「まあ、我々としてはその議会の意思、知事の辞職を求めることについて、しっかりと議会の意思として示せる最善の方法を考えて行きたいというふうに思っております」

Q:不信任案の提出は見送るということ?

野崎代表:「繰り返しになるが、しっかりと意思が示せる形を考えていきたい」

Q:意思を示すだけでは請願の可決や辞職勧告決議案だけでも足りるが、きのうまで提出の方針を繰り返していた不信任決議案はどうされたのか?

野崎代表:「最善の形で議会の意思が示せることを考えている。そういった中で、皆さんからのご意見を伺ったということ。以上です」

Q:結論としては不信任案は見送り?

野崎代表:「何度も申し上げているが、我々としては知事に辞職を求めていくという議会の意思がしっかりと示せる形について皆さんにご意見をいただいたということ。以上です」

Q:きのうまでと言い方が違うので明確にしていただきたいのですが、不信任決議案を提出するという方針は改められるのか?

野崎代表:「いろんなご意見を頂いたということであります」

Q:話せないという意味ですか?

野崎代表:「ご意見を伺ったということでございます」

 関係者によると、議員総会では多数派工作をしてきたが可決の見込みがなくなったとして、不信任案提出を見送り代わりに辞職勧告決議案を提出する方針が示されたということです。辞職勧告決議案は、2分の1以上の賛成で可決されますが、法的拘束力はありません。

画像2: 一転、不信任案提出の見送りへ

 出席した議員からは「なぜ突然方針が変わったのか」「地元に説明できない」「負けても不信任案を出すべきだ」などの意見も出されましたが、最終的に執行部の方針が了承されたということです。

自民関係者:「可決の見込みがない不信任案を提出しても意味がない。否決されて知事サイドを喜ばせるだけだ」

自民関係者:「不信任案は県議会にとって『伝家の宝刀』。一度抜いたのに、引き返すというのは最悪の選択だ」

公明党関係者:「え、まじで。なんだったの。うちはどうしたらいいだろう」

混迷する県政に県民は…

西尾梓アナウンサー:「知事のコシヒカリ発言を発端に、混迷する静岡県政。ここにきて不信任案見送りの可能性も出てくる中、そもそも県民は、知事がいま辞めるべきだと考えているのでしょうか。それとも続けてほしいと考えているのでしょうか」

静岡市 60代女性:「私はやめていただきたい。同じ県の人を非難するような、あんな言い方は県知事としてあるまじき行為。また選挙になっても、ちゃんとした人を選任してもらいたい」

静岡市 50代男性:「そういう発言をしたこと自体が間違いだと思うので、やはり自分から辞めるべきじゃないか。責任取ってもらいたいと僕は思う」

富士宮市 40代男性:「一応みんなの投票で選ばれた方なので、そこは任期を満了していただきたい。不祥事とかではないので、そこまでは辞めるまではいかないが続けて頑張っていただければ、続けてほしい」

島田市 30代男性:「大井川の関係では結構強い姿勢で臨んでくれているので、そういったところを踏まえて、そこを完結するまでは続けてほしい」

静岡市 60代男性:「僕個人としては辞めていただきたい。勢いで言ってしまったことだと思うが、そのあとの対応がスパッとクリアじゃなかった。もっと本当に素直に即座に謝ればいいのに。選挙ですか?致し方ないことだと思う。一回ここで県民の意見の総意を確かめることは大切なことだと思う」

焼津市 40代女性:「辞めてもらいたい。やはり気持ちの中でそういうところがあるので、そういう発言が出てしまったのかなと。謝ったからどうこうというものじゃないかなと思っている。このまま川勝さんが続けるのは納得いかないので、次いい人が立候補してくれて静岡を変えてくれたらなと思う」

静岡市 70代男性:「続けてもらった方がいい。選挙中の発言ですよね。つまり東部と西部の戦いで東部を意図的に貶めたわけじゃなく、西部を支援する意味に発言したのが、ああいう形になったわけですよね。それはあまり芳しくないが、1つの手法としてはやむを得なかったのではないか」

静岡市 90代男性:「続けてほしいね。あれだけの人が水問題にしてもJR東海相手に正々堂々とみんなの考えを言っているのは他の人はいない。謝っているから、それをいつまでも追及するなんていうのは静岡県はおかしい。自民党だっておかしいと思う。川勝さんじゃないとダメだね、静岡は」

画像: 混迷する県政に県民は…

 あすの臨時議会は、自民改革会議が提出するとみられる辞職勧告決議案が可決された後、川勝知事が自らの進退をどう判断するかに焦点が移りました。