リニア建設工事でJR東海と平行線続く静岡県知事が急きょ山梨県駅を視察

リニア中央新幹線の部分開業を主張している静岡県の川勝知事は14日公務で訪れた山梨県で駅の建設予定地を急きょ視察しました。

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リニア建設工事でJR東海と平行線続く静岡県知事が急きょ山梨県駅を視察

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午後1時すぎ、川勝知事の姿は山梨県甲府市にありました。
元々、山梨県で行われる「中央日本4県サミット」に出席する予定でしたが、
それに先立ち、急きょリニア中央新幹線・山梨県駅の建設予定地を非公開で視察しました。

山梨・甲府市 午前11時半ごろ
「甲府市の南側に位置するこちらの田園地帯に山梨県駅が造られる予定です。
現在まだ手は付けられておらず、あたりには田んぼや畑が広がっています」

山梨県駅の建設が予定されているのは甲府市南部にある大津町。
中央自動車道が近くを通り、スマートインターの整備が予定されています。

山梨県民 30代
「遠出しやすくなっていいかな。
関西とかあっちの方面に出やすくなるので、今は東京に出て新幹線で行くのが多いので、それが直通になるとすごく楽。
なるべく早く開通するといいかなと思っている」

山梨県民 40代
「東京に行くことがたまにあるので、特急だと1時間半くらいかかるが、リニアだと数十分で着く。
早く開通してもらいたいのが率直な感想」

川勝知事は近くにある建物3階から建設予定地を眺め、JR東海の担当者から説明を受けたということです。
視察後、取材に応じた川勝知事は―

川勝知事 山梨・甲府市 午後1時半ごろ
「きょうはリニア中央新幹線建設促進期成同盟会の副会長として、こちらにまいりました。
駅は4年ぐらいでできると。
そして(実験線から駅まで)6キロの延伸ですね。
これを合わせると2027年が目途になっていて、それまでにほぼ確実にできるという説明を受け、また現場を見て、かなりJR東海の管理地も蓋がかかったりしてうまくいっているなと」

川勝知事 山梨・甲府市 午後1時半ごろ
Q.知事が主張されている部分開業や2027年開業の考え方は今回の視察で変化や影響を与えるようなものはあったか?
「実はもうリニアは今の時代に合わないと、分散自立型のネットワークである時代に入っているのでいらないという意見が非常に強いわけですね。
本当に今必要なのか。
そういう危機感が、新しい生活様式というものが今のリニアについての再考を迫っているという危機感が、きのうのJR東海の金子さんは、使命感はすごいんですよ。
造っていかなくちゃならないんだと、名古屋までが開業だと。
それを全線開通のごとく言っておられますけど、それ自体が部分開業であり、大阪まで行くための暫定開業なんですね。
従来のビジネスモデルと違うものを考える時期だと。
私はそういう危機感を持って、同時に期成同盟会の副会長として使命感を持って、今こういう調査や研究にあえて時間をとってきていると、こういうことであります」

「(知事)暑い中、ようこそ起こしいただきまして」
「(金子)どうもよろしくお願いします。ありがとうございます」
「(知事)どうぞ、こちらのほうに」
2年ぶりに行われたJR東海・金子(かねこ)社長とのトップ会談。
電撃的に実現した2回目の直接会談は非公開で、1時間余りで終了しました。

会談を終えた両者は、それぞれ取材に対して―

JR東海 金子慎社長
「知事と直接コミュニケーションをとって、いろんなお話をさせていただいて良かったと思います」

川勝知事も…。
「お目にかかって話して良かったと思いますね」

しかし、2人の見解が一致したのはこの点についてだけでした。
金子社長は静岡県がリニア建設促進期成同盟会に加盟したことを踏まえて、
唯一未着工となっている静岡工区での早期着工を求めたといいます。

JR東海 金子慎社長
「やっぱり今、静岡工区が着工出来ていないということが、この先の名古屋開業の目途が立っていないことになっているわけで、ぜひ私たちは水の問題、それから南アルプスの環境保全の問題、いろいろやらなくてはいけないことは重々承知していますけれども、それを前提にそれを一生懸命やるので、ぜひ知事からも静岡工区の着手についてご理解、ご協力をお願いしたいというようなことを申し上げました」

川勝知事
「静岡工区、先進坑を掘ってから水を戻す。
先進坑を掘る前に工事用トンネルを掘らなくちゃいけない。
その土砂どうするんですかという問題がありますと。
盛り土の問題がありますと申し上げて、これをクリアしなくちゃなりませんよと」
Q.早期着工の理解を求められたが、今の段階では解決すべき問題がたくさんあるので、すぐに応じることができないとお伝えした?
「早期着工のためにやるべき手続きをやっているわけですね。
まだ生態系の問題もこれからですし、盛り土の問題も非常に大きいです。
こうした事がクリアできていない」

会談では川勝知事の持論である神奈川-山梨間の部分開業も議論されました。
JR東海 金子慎社長
「私の方から部分開業という中間駅と中間駅を結んで開業するということは考えていないんだと

川勝知事
私はできるところからやったほうがいいんじゃないかと」

先日、リニア新幹線の神奈川県駅の予定地を視察した川勝知事。
同じ相模原市に建設する車両基地の建設の遅れによって、静岡工区の着工に関わらず2027年開業には間に合わないと指摘していました。
これについても…。

JR東海 金子慎社長
「(知事は)用地の取得が全然進んでいないという認識であったので、そうではなくて、ここはいろいろ問題があるけれども、だいたい半分、5割程度の用地の取得は進んでいると。
工事の内容からして、できるところから進めると。
これが全体の工程を遅らせるということにはならない。
静岡工区についてやっぱりなかなか着手できないということが全体の工程、開業の目途を難しくしているということを何度か申し上げました」

川勝知事
「社長のご説明では用地取得は半分ぐらい出来ていて、できたところから(工事を)やっていけば、何とか2027年に間に合わせられると、間に合わせたいと、そういう希望を言われました。
私は資料をお見せして(全工程で)11年かかるのに、用地買収なしにどのぐらいできるのか、ちょっと懸念を持った訳であります」

トップ会談はまたしても平行線、互いの認識の違いが鮮明になった形です。
静岡工区をめぐる互いの溝は全く埋まる気配がありません。

ON 川勝知事
「水の資源を確実に守れるのか、自然環境を確実に保全できるのかということで、現在やっている議論を国並びに県の専門部会でやっていく姿勢をお伝えしたということでございます」