静岡・小山町の工業地帯にアトランティックサーモンの養殖場完成…食料自給率改善し、世界に発信するブランドとなるか
工業地帯に広大なサーモン養殖場
白鳥衛記者:
「小山町の工業地帯に来ています。山々に囲まれたこちらの場所に、サーモンの養殖場の一部が完成したということです」
22日、小山町で国内最大級のアトランティックサーモンの養殖施設がお披露目されました。
手がけるのはノルウェーのシーフードを取り扱う会社です。
その広さ2万7800㎡。サッカー場に換算すると4面分もあります。
施設の中は…
国内最大級のサーモンの養殖施設の中はどうなっているのでしょうか。
この引き出しのような物、この中に卵を入れてふ化させます。
その後、こちらの青いタンクに移動させます。
担当者:
「卵からふ化した稚魚はお腹に栄養袋を抱えていて、その間はエサを食べません。栄養を吸収してお腹の袋が無くなった時に初めてエサを食べるのでその段階の稚魚が0.2gだが、こちらの施設に入ってきます」
ここでは、0.2gの稚魚から2gほどにまでエサを与えて飼育。
続いて、ナーサリーと呼ばれる場所で100gのサイズになるまで10カ月かけて飼育します。
その後、およそ1年かけて4~5キロほどのサイズまで養殖してから出荷します。
「世界に発信できるブランドになると思う」
22日は小山町とは別の場所で同じ方法で養殖したサーモンの試食会も行われ、小山町の池谷町長らがその味を確かめました。
小山町 池谷晴一町長:
「おいしい。脂もしっかりあって。富士山の水で育てるサーモンじゃないですか、だから富士山の恵みなんですよ。世界に発信できるブランドになると思う」
魚の養殖は今後、重要な産業に
実は、県内の養殖施設は、小山町だけではありません。
磐田市では今年7月に関西電力の子会社が運営するエビの養殖場が完成。
長さ40mの水槽6つを使って、年間80トンの生産を目指しています。
この養殖場ができた背景も、エビの国内流通量の9割が外国産であるということがあります。
「メイドイン静岡」のサーモンに会見を開いた企業側は・・・
Proximar ヨアキム・ニールセンCEO:
(通訳)
「なぜ私たちがこれを始めようかと思ったかについてお伝えすると、ノルウェーではこの大規模な陸上養殖というのは結構普通に行われていることで、向こうで培ったノウハウ・経験・技術を日本に持ってくるということは非常に大きなチャンスがあるとみたので、こちらに進出した」
大和ハウス工業 建築事業部 石原聡部長:
「こういう新しい技術を日本に導入するというのは非常に意義があると思っている。アトランティックサーモンの生産がここに可能になるということで、食料自給率の改善で言えば、サケ・マス類で考えると2.5%改善するということで、非常に今後重要な産業だと考えている」
最初の水揚げは、2年後の2024年を予定。
2027年にフル稼させて年間およそ5300トンのサーモンを生産する予定です。