【リニア】静岡県「ボーリングを“今行う必要はない”」島田市長「決めつけるような発言をすると私たち流域がまた戸惑う」県と大井川流域市町の意見交換会 議論がかみ合わない状況続く…

島田市・染谷絹代市長(11日)
「私たちが抱える不安を解消するという意味では、この先、水が出るのか出ないのか、どんな地質なのかということを知ることは、流域がこれだけ心配しているわけです」

画像: 【リニア】静岡県「ボーリングを“今行う必要はない”」島田市長「決めつけるような発言をすると私たち流域がまた戸惑う」県と大井川流域市町の意見交換会 議論がかみ合わない状況続く…

議題は「ボーリング」

11日、静岡県庁で行われたのはリニア問題に関する意見交換会。

 出席したのは県の専門部会のメンバーと大井川流域の市長や町長です。

 流域のトップから意見が相次いだのはJR東海が提案している“ボーリング”についてでした。

島田市・染谷絹代市長(11日):
「こんなに皆さんが不安を持っているものが少しでも科学的・工学的に根拠が得られるならば、これはやる価値があるのではないかと」

画像: 議題は「ボーリング」

一方、専門部会側は・・・

県専門部会・森下部会長(11日):
「私はボーリングそのものを否定しているわけではありません。この高速長尺先進ボーリングは工事を安全に行うために必要であることに異論はありません。ただ、このボーリングを“今行う必要はない”と判断しました」

 南アルプスでのトンネル工事を巡っては、現状、県は県境を超えた工事を認めていません。

 一方でJR東海はボーリングについて「工事」ではなく「調査」であるという姿勢をとっています。

JR東海・金子慎社長(先月25日)
「ボーリングはいきなり大きな断面のトンネルを掘ることに比べれば、このボーリングをすることによって、いろんな危険を避けるための情報、あるいは湧水の状態等、いろいろ情報が得られるので、これをやった方がいいだろうと申し上げている」

画像: 一方、専門部会側は・・・

ただ、川勝知事は・・・

川勝知事(先月29日):
「高速長尺先進ボーリングについてなんとなく調査だけと言っているが、これは関係者は施行中のトンネル工事の一環としてやるんだということは常識になっている」

 ボーリングは「調査」ではなく「工事」だという認識を崩しません。

 11日の意見交換会では、専門部会側から「ボーリング」をめぐり、こんな意見が・・・

県専門部会・森下部会長(11日):
「現在の高速長尺先進ボーリングでは水が流出するだけとなってしまいます。山梨工区の先進坑が現在の位置で停止したとしても、静岡工区の工事を始めてから再開すれば十分に間に合いますので、今急いで高速長尺先進ボーリングをする必要はないということになります」

 静岡県側に水を戻すための導水路トンネルを作るのにも数年かかる見込みのためまだボーリングは必要ないという意見。

画像: ただ、川勝知事は・・・

議論は平行線

ただ、こうした平行線を辿る議論に大井川流域の市長らも痺れを切らせたのか・・・

牧之原市・杉本基久雄市長(11日):
「県の専門部会の先生方は何を持ってリニアの工事を進めていく判断材料とするのか」

菊川市・長谷川寬彦市長(11日):
「抜けてしまうという不安を逆にすごく感じてきました。今まではこの調査やったほうがいいんじゃないかとすごく言っていたんですが」

島田市・染谷絹代市長(11日):
「対立の構造の中で議論をしているような気がしています。JR東海とみなさん方が。どうすれば水を守れるかという目的のために寄り添う議論をしてほしい。事務局はかなり頻繁にJRとやりとりしているはずなんです。しっかり話をしてもらって、その内容について私たちは一度も聞いたことがない。それともう1つはね、ボーリングは水抜きが目的というような、決めつけるような発言をすると私たち流域がまた戸惑うんです」

画像: 議論は平行線

溝を感じる意見交換会

これまで、「ボーリング」についてJR東海はあくまで地質や水の状態を調べるためのものとしています。

 ただ、専門部会側からは一般論も交えてこんな意見も・・・

県専門部会・大石委員:
「黒部の時のような死者が出たりということがないように安全な工事を行うために水を抜くというのが工事の目的なわけです」

島田市・染谷絹代市長(11日):
「それについてはJRの見解を聞いてみたいと思います」

 専門家と大井川流域との間にどことなく溝を感じる場面が多かった意見交換会。

 ただ、専門部会側も、前向きな見解は示しています。

県専門部会・森下部会長(11日):
「どうしてもボーリングがしたければ、失われる水をリアルタイムで戻す方策とセットにして提案してください。その切り札は田代ダムからの取水を抑制する案であります」

画像: 溝を感じる意見交換会

「議論がかみ合わない状況がずっと続いているような気がする」

意見交換会後、大井川流域の市長や町長らは・・・

牧之原市・杉本基久雄市長(11日):
「どこが噛み合っていないか、それぞれお考えがあるので、そういった意味では、今日の意見交換会をやって、今まで我々もわからなかった、リスクはあるっていうことは理解ができたというふうに思っています」

藤枝市・北村正平市長(11日):
「だいぶこの水の問題については、議論・論点が絞られてきているなという感じがして、特に高速長尺先進ボーリング。また県のほうもしっかりと話をして欲しいなと思っています」

島田市・染谷絹代市長(11日)
「何て言うんでしょうかね…議論がかみ合わない状況がずっと続いているような気がしましてね、で、もう少し…何て言うかな…胸襟を開いて話し合うと言いますかね、解決の術についてお話しすることができるのではないかなと言うのが印象の一つでもありました。まだ時間がかかることだと思っています」

画像: 「議論がかみ合わない状況がずっと続いているような気がする」