岸田総理の新幹線停車頻度増加発言に静岡県の川勝知事が猛反発「机上の空論」と切り捨てる
リニア新幹線開業後、
静岡県内の駅に停車する新幹線の本数がどのぐらい増加するか、岸田総理が取りまとめる方針を示したことに対し、川勝知事が「机上の空論」と苦言を呈しました。
岸田文雄総理大臣 三重・伊勢市 4日:
「本年はリニア中央新幹線の全線開業に向け、大きな一歩を踏み出す年にしたい。リニア開業後の東海道新幹線における静岡県内の駅等の停車頻度の増加について、今年夏をめどに一定の取りまとめを行い、関係者に丁寧な説明を行っていきたい」
4日開かれた岸田総理の年頭会見。
JR東海が目標としてきた2027年の品川-名古屋間の開業が絶望的になっているリニア中央新幹線をめぐり、開業後に静岡県内の駅に停車する東海道新幹線の便数をどのぐらい増加できるか、今年の夏までに取りまとめる考えを明らかにしました。
今回政府が旗振り役を担って“試算”を示すことで、リニアの停車駅がなく、開業による効果をイメージしにくい静岡県民に対し、メリットをアピールする狙いがあるとみられます。
これに対する反応が、冒頭の川勝知事の言葉です。
川勝知事:
「どんな一歩ですか。全部開通したらダイヤが変わりますからね。リニアのサービスが1時間何本になるのかというようなことが分からないと、ひかりとこだまの回数がどれくらいになるのか分からない。リニアが全部開通しないと分からない。ほとんど机上の空論です」
政府の方針について、「机上の空論」と切り捨てました。
川勝知事:
「今頃それを言って静岡県民を喜ばせようというレベルの低さ。これはどなたでしょうか。(国交省の)鉄道局長なのか、鉄道局長を務めた担当審議官なのか、この担当がいかにレベルの低い議論を、大臣や、ましてや総理まで、私は慨嘆しています。反省しなさい。あなた方はこれを事業主体として任命した方でしょう」
最後は総理の発言を引き合いに、こう締めくくりました。
川勝知事:
「国を百単位ぐらいのレベルでつくっていこうという、それがデジタル田園都市構想。真っ向から違うことを言っている、ご自身が。リニアの第一歩は、リニアから引く第一歩かもしれないと思うぐらい一貫していない。誰が悪いのかというと私はアドバイザーが悪い。国交省の役人が悪いと思いますね」
島田市の染谷絹代市長は
一方、リニア開業後の新幹線の停車便数の試算を出す方針について、
大井川流域にある島田市の染谷絹代市長は―
島田市 染谷絹代市長:
「国が本格的に国策としてリニア推進を表明しているんだと。岸田総理が言ったことはある意味非常に静岡県に配慮しているとも思った。開通後にひかりの停車頻度が上がるというのを示していただけるのは前向きな議論だと思うが、すべての前提は流域に大井川の水資源、水の恩恵で流域の暮らしが保たれるのが条件」
島田市 染谷絹代市長:
「これから国がどう関与してくるかも含めて不確実性を小さくするための議論が本来はなされるべき。そうしたことも合わせて、今年1年リニア工事の議論が建設的に進むといいなというのが私の意見」
静岡県民の意見は
今回示された方針について、県民にも聞きました。
リニア新幹線建設 「賛成」派:
「ひかり少なくないですか?1時間に1本ぐらいしかないので、今から大阪にひかりで行くが、こだまが遅いので、ひかりが増えるならうれしい。(ひかりが1時間に)1本は少ない。2~3本あればうれしい」
リニア新幹線建設 「どちらでもない」派:
「とても増えてほしいと思うが、今は仕事もリモートなので、東京に行くとか名古屋に行くこともかなり減ってしまったので、今は特に関心がとても低い」
リニア新幹線建設 「反対」派:
「率直に言うと、今の時点では(リニア新幹線建設に)反対かな。
今ある新幹線でその時間に合わせて動けばいいし。本当に必要なのかなと。僕ら地元の人がリニアに乗る機会もないと思う」