【リニア】総理への手紙で「一波乱」 静岡・川勝知事「確実に総理に届けるため事務所に送った」 県議「国交省や首相官邸にきちんと要望書として出すべき」

 2027年に予定していた開業が、日に日に遠ざかっているリニア中央新幹線。このリニアをめぐる一通の手紙が、静岡県議会に論争を引き起こしました。

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火種は岸田総理あての手紙

静岡県 川勝平太知事(14日):「県民の皆様の不安や懸念が払しょくされるよう、引き続きJR東海との対話を進めてまいります」

 川勝知事の「リニア中央新幹線」に対する意気込みから始まった県議会2月定例会。17日金曜、このリニア問題をめぐる論戦が繰り広げられました。その火種となったのは、1月下旬に知事が岸田総理へ宛てた「手紙」です。

静岡県 川勝平太知事(1月):「静岡県にとって必要な情報を明示して頂くべく、手紙をお届け致しました。2027年から全線開業予定の2037年まで、この10年間において、静岡県が享受できるメリットをご説明ください」

画像: 火種は岸田総理あての手紙

 岸田総理は、リニア開業後、静岡県内に停車する東海道新幹線の本数をどれだけ増やせるか、この夏をめどに調査結果をまとめる方針を示しています。総理宛ての手紙の中で川勝知事は、名古屋までの「部分開業」、大阪までの「全線開業」それぞれの段階で、県内に停車する新幹線の本数などを丁寧に説明するよう、総理へ求めました。県議会で持ち上がったのはその“送付先”です。

持ち上がったのは『送付先』

画像: 中田県議

中田県議

自民改革会議 中田次城県議(17日):「岸田総理へ送られた知事の書簡の内容がですね、リニア中央新幹線の今後の開業も、さまざまな角度から検討して行く中で、必要な内容を知事が総理に求めたと思っている。であるならば、それは書簡という形で岸田事務所に置くものではなく、知事として一国の総理に対して、窓口である国交省や首相官邸に対して、きちんと要請書もしくは要望書として出されるべきものであったと思っている」

画像: 川勝知事

川勝知事

静岡県 川勝平太知事(17日):「事前に岸田事務所の方に連絡を差し上げ、確実に首相のお手元に届く手段として、目的と内容を説明し、先方のご了承を得た上で、お届けしたということ。他に良い手段があるならば、今後も検討して行きたい」

 総理の元へ確実に手紙を届けるために事務所に送ったという川勝知事。実は、知事がリニア問題に関して「総理大臣へ」手紙を送ったのは、今回が初めてではありません。

静岡県 川勝平太知事(2021年1月):「意を決して、菅総理にお手紙を書いた。南アルプスの自然を守るべしと地域住民の理解を得るべしと。2つのことが明確になるまでは事業を凍結すると。菅総理にお目にかかるのはなかなか困難、難しいので手紙にした」

 川勝知事は2020年の大みそかに「(リニア)事業を凍結するのが望ましい」という手紙を、当時の菅総理宛てに送ったと、年明けの会見で突如明らかにしています。

「流域市町に事前に相談したか」

 今回、岸田総理に宛てた手紙については、大井川流域市町や期成同盟会に事前の相談はなかったといわれていました。これについても議会で…。

中田次城県議(17日):「私がお聞きしているのは、流域市町や期成同盟会と、この文章、書簡を出すにあたり相談したかというのが一つと、知事が確実に総理の元に届くようにということで事務所に送る判断をしたことについて、事務方はどういう判断をしたのか」

画像: 森副知事

森副知事

静岡県 森貴志副知事(17日):「書簡は公文として、本県選出の国会議員の先生方、国土交通省鉄道局、リニア中央新幹線建設促進期成同盟会の構成になる。また、本県の専門部会の委員、流域市町村の皆様方にその写しを配布して情報提供したところで、以上をもって情報の共有ができると考えている」

ヤジ)流域市町に出したのかって聞いてんだよ。
ヤジ)ごまかし答弁ばっかしてるから、辻褄あわなくなってんだよ。

 議会にヤジが響く中、森副知事は、リニア問題は県民にとって重要な問題であり、県の姿勢に問題はなかったと答えました。

森副知事(17日):「文章の内容につきまして、事後であるが、しっかりお伝えした。また、岸田首相にこの書簡を出したことについて、正しい判断かということだが、冒頭申し上げましたとおり、本県の県民にとっても重要なことであったので、県民を代表して、県知事から直接総理に書簡を送付したことについては、正しい判断と考えている。以上でございます」