鶏肉だけでなく油や弁当の容器も値上がり…“から揚げショック”の背景は 卵も値上がり193円⇒301円に 静岡市

 サクサクに揚がった、鶏のから揚げ。中からこぼれる肉汁が食欲をそそる、このから揚げが今ピンチに陥っています。

静岡市民 30代:「ちょっとだけ高くなったなというのはある。おいしさそのまま、値段もそのままがいい」

からあげ大ちゃん清水・鳥坂店 林淳市オーナー:「ほぼ全てのものが値上がりしている。本当に辞めざるを得なくなって閉店してしまった人たちもいる」

 値上げラッシュによって生じている、“から揚げショック”。その背景には一体何があるのでしょうか…。

清水区のから揚げ専門店は1個20円ほど値上げ

画像1: 清水区のから揚げ専門店は1個20円ほど値上げ

須藤誠人アナウンサー:「静岡市清水区にあるこちらのから揚げ専門店では、鶏肉の仕入れ価格高騰の影響で、商品の値上げに踏み切りました。こちらのから揚げ4個入り、これまでは税込み572円での販売だったそうですが、から揚げ1個あたり20円ほどの値上げだということです」

 静岡市清水区にある「からあげ大ちゃん」。大ぶりの鶏肉を使ったジューシーなから揚げが看板メニューで、お昼時には行列ができる人気店です。しかし今、これまでにない値上げラッシュがからあげ業界に押し寄せています。

画像2: 清水区のから揚げ専門店は1個20円ほど値上げ

鶏肉だけでなく油や容器…ほぼすべてが値上がり

からあげ大ちゃん清水・鳥坂店 林淳市オーナー:「メインになる鶏肉はもちろん、油とか弁当の容器とか、ほぼ全てが値上がりしている。フランチャイズの各オーナーが集まって会議をして値上げに踏み切った。本当に苦肉の策」

画像: 鶏肉だけでなく油や容器…ほぼすべてが値上がり

 去年まではから揚げ4個で572円でしたが、現在は100円近く高い661円で販売しています。値上げに踏み切らざるを得なかった背景には、ウクライナ侵攻によるエサ代の高騰や輸送費の増加、円安による輸入コストの増加があります。特に、輸入した鶏肉の価格高騰が顕著だといいます。

 こちらの店でも輸入品を使用していて、仕入れ価格は去年に比べると、1キロあたり100円ほど値上がり。大量に仕入れることでコストを抑えていますが、それでも、現在はかつての1.4倍ほどの経費がかかっているそうです。

オーナー「利益は少なくなるが、もう我慢比べ」

からあげ大ちゃん清水・鳥坂店 林淳市オーナー:「値上げをしたから、(から揚げを)小さくすることは考えていない。利益が少なくなるだけであって、そこはもう我慢比べというか」

 今後も仕入れ価格の高騰が続けば、再度の値上げも考えざるを得ないと話します。その後、きょうになって運営本部から通達があり、3月から鶏肉1キロ当たり40円から50円ほど仕入れ値が上がります。

からあげ大ちゃん清水・鳥坂店 林淳市オーナー:「まだまだ高騰が続くようであれば、(再値上げを)視野に入れていかなければいけない。でも、なるべく今の金額で頑張っていきたいというのはある。本当に辞めざるを得なくなって閉店してしまった人たちもいるので、そうならないように踏ん張りたい」

卵の値上がりも止まらず

 同じ鶏つながりの、こちらも値上げが止まりません。

画像1: 卵の値上がりも止まらず

須藤誠人アナウンサー:「静岡市清水区にあるスーパーマーケットです。こちらが卵売り場なんですが、様々な商品があるなかで、メインの商品L玉の卵、去年の同じ時期は税込み193円で販売されていたということなんですが、現在は税込み301円となっています。去年の同じ時期と比べて100円以上アップしていることになります。」

 卵Mサイズの卸売価格は去年から右肩あがりで、2月27日時点で1キロ当たり335円。統計が公表された1993年以降、過去最高値となっています。“物価の優等生”と言われる卵の値上がりが続く状況に、買い物客からも困惑の声が…。

画像2: 卵の値上がりも止まらず

清水区民 70代:「安売りもしなくなったし、とても高い。うちも家族が多いし、子どもも食べるので本当に困る」

清水区民 60代:「(使う)量は控えめにしている。例えば親子丼は今まで4~5個とかいっぱい入れていたが、最近は少なめに3個とか。前は週に2~3回買っていたが、最近は週1です」

背景に「鳥インフルエンザ」

 販売するスーパー側にも影響が―

ヒバリヤ高部店 大柳徹副店長:「毎週日曜日にヒバリヤのプライベートブランドの卵を安く提供していたが、今回の原価高騰に伴って、申し訳ないが一旦中止させていただいている。カツ丼やゆで卵といった商品に関しては、商品(卵)が入って来なかったり、原価が上がってしまったりで、値上げの形を取らせていただいている」

画像: 背景に「鳥インフルエンザ」

 記録的な値上がりの背景にあるのは、国内で過去最悪クラスの猛威をふるっている「鳥インフルエンザ」です。去年10月以降、全国の養鶏場で確認が相次ぎ、卵を生ませる鶏の1割程度、およそ1500万羽が殺処分され、供給量が減少していることが要因とみられます。

 こうした中、消費者の行動にも変化が…。

ヒバリヤ高部店 大柳徹副店長:「一番売れ筋のL玉M玉といった商品が一挙に値段が上がって、ブランドの特殊卵といった商品との価格差が狭まってきて、特殊卵を購入する客が非常に増えている。今後も正直いい見通しはないが、なるべくお客様が支払いできるような卵を提供していきたい」