作品ほぼ半数は『個人からの寄贈』…106点寄贈した大学名誉教授も 作品購入予算は去年ゼロ、今年100万円 静岡県立美術館

 静岡市駿河区にある静岡県立美術館。1986年に開館し、世界で最も有名な彫刻の1つ、ロダンの「考える人」など様々な作品が展示されています。その県立美術館で今、注目を集めているのが…。

画像1: 作品ほぼ半数は『個人からの寄贈』…106点寄贈した大学名誉教授も 作品購入予算は去年ゼロ、今年100万円 静岡県立美術館

県立美術館 川谷承子上席学芸員:「こちらは太田正樹さんの寄贈作品の1点で、宮島達男さんという日本人のアーティストの作品です」

画像2: 作品ほぼ半数は『個人からの寄贈』…106点寄贈した大学名誉教授も 作品購入予算は去年ゼロ、今年100万円 静岡県立美術館

 館内の一角に展示されている「現代アート」の数々。去年行われたオークションで「20世紀の作品として史上最高額」の250億円で落札された作品を生んだ “ポップアート巨匠”、アンディーウォーホルや16億円の価値を持つ作品を生んだ世界的に名高い現代美術家の村上隆の作品などが見る人の心をつかんでいます。

寄贈したのは旧清水市出身、早稲田大名誉教授の太田正樹さん

 これら作品を寄贈したのは、旧清水市出身で早稲田大学の名誉教授、太田正樹さんです。

県立美術館 川谷承子上席学芸員:「『自分は現代美術の作品を集めているコレクターだけど、作品を見に来ませんか』と連絡があって、太田さんがすごくうれしそうに作品を見せてくれるので、本当に美術が好きな方なんだなというところは、そこで分かって」

画像: 寄贈したのは旧清水市出身、早稲田大名誉教授の太田正樹さん

 これまでに太田さんが寄贈した作品は、全部で106点。去年、89歳でこの世を去った太田さんですが、美術館には、今も太田さんの思いが詰まった作品が輝いています。

県立美術館 川谷承子上席学芸員:「やはりこの地域への愛というのが、まず基本としてあったと思う。太田さんは県立美術館にどういう収集作品があるかというのを自分で調べて、『この作家はあるよね。でも村上の作品がないよね。村上は大事な作家だよね』という感じで、この地域にこういった作品があったらいいんじゃないかって考えて、作品を寄贈してくださったと思うので、本当にその気持ちはありがたいですよね」

来館者の増加にもつながる

画像: 来館者の増加にもつながる

 新しい作品が展示されることは、来館者の増加にもつながります。

牧之原市 40代:「今回、リ・ウファンさん(の作品)が入ったことで、見に来た。美術館が買うことが出来ない半面、そういう人がいるので美術館が成り立っている部分があるし」

Q.こういう寄贈はありがたい?
A.「そうですね!」

静岡市 60代:「いい時間を過ごさせてもらった」

Q.美術館でなかなか収集できないものを寄贈してもらっているが、どう感じますか?
A.「すごいですね。これだけものを持っていたというのが」

ほぼ半数は個人からの寄贈…今年度購入費は100万円

 貴重な作品を受け継いだ美術館ですが、こうした寄贈に頼らざるを得ない現状があります。現在、県立美術館の収蔵品はおよそ2800点。そのうち美術館として購入したのは1471点で、残りの半分近くは個人からの寄贈によるものです。

画像1: ほぼ半数は個人からの寄贈…今年度購入費は100万円

 県立美術館によると、開館時には作品を収集する予算が数億円ありましたが、昨年度はゼロに。今年度も100万円と、厳しい予算事情となっているのです。

県立美術館 川谷承子上席学芸員:「日本全体の経済が落ち込んでいる中で、美術館にだけ高額の予算をずっとつけてくださいとは、やはり言えない状況だと思う。とはいえ、これがまた10年後、20年後、そして100年後、静岡県、ひいては日本の資産になっていく、重要な文化遺産になっていくものなので、あるところで途絶える、収集が途絶えてしまうというのは、やっぱり避けたい」

画像2: ほぼ半数は個人からの寄贈…今年度購入費は100万円

 太田さんが寄贈した作品などを紹介している展覧会は21日まで、23日からは、選りすぐりの寄贈作品が並ぶ展覧会も開かれます。数々の名作をゆっくりと鑑賞するのはいかがでしょうか。