【静岡高校野球】夏の注目選手紹介【野手編】

前回の投手編に続き、今回は野手の注目選手を紹介していきます。

鈴木を筆頭に好捕手が揃う

 まずはプロ注目の鈴木叶(常葉大菊川)から。全国トップクラスの実力を誇る捕手です。一番の持ち味は肩の強さ。体全体を柔らかく使ったフォームから二塁ベースに向かって伸びていく軌道で走者を刺します。相手のスキをつく視野の広さは天性のもの。1試合に一度は驚くようなスーパープレーでスタンドを沸かせます。

ドラフト候補に挙がる鈴木叶(常葉大菊川)
ドラフト候補に挙がる鈴木叶(常葉大菊川)

 鈴木だけでなく、今年の県内は好捕手が目白押しです。米倉輝(東海大静岡翔洋)は強肩強打でチームを引っ張ります。高校1年春に公式戦初打席で初本塁打の衝撃デビュー。ここ一番での集中力があります。一呼吸を置いてからでも盗塁を刺せる猛肩にも磨きがかかり、翔洋の扇の要として君臨します。

 昨年からマスクをかぶる野田優磨(日大三島)はプレーの完成度が高い捕手です。捕ってから投げるまでの握り替えが速い上に送球が正確。どんな体勢からでも二塁ベース付近に投げ込めます。

 そのほか、打ちだしたら止まらない石川昊(駿河総合)、投手に寄り添い的確なリードを見せる松井大空(静清)、俊敏性のある鈴木春翔(浜松修学舎)、攻守でハイレベルの新妻恭介(浜松開誠館)といった捕手も見逃せません。

覚醒する2人のスラッガー

 高校通算23本塁打の落合倭吹輝(掛川西)は、この春に打撃開眼したスラッガー。バットがしなるスイングを習得し、本塁打を量産中。引っ張るだけでなく、逆方向にも大飛球を放ちます。掛川西の初戦の相手は静清と静岡北の勝者。静清が勝ち上がれば、最速147キロ右腕・佐山蒼空との「注目選手対決」が実現する可能性があります。

強打者の落合倭吹輝(掛川西)
強打者の落合倭吹輝(掛川西)

 飛ばす力なら、春の大会で1試合2本塁打を記録した鈴木一毅(聖隷クリストファー)も負けていません。身長190センチ体重90キロの堂々とした体を持ち、軽くミートしただけで外野フェンスの近くまで飛んでいきます。

「浜松の牛若丸」も見逃すな!

 吉松礼翔(浜松開誠館)は県ナンバーワン遊撃手。本人も「自信を持っている」と口にする華麗な守備で魅了する。まさに「浜松の牛若丸」。三遊間の深い打球が見せ場で、巧みなハンドリングと肩の強さを生かして打者走者をアウトにします。

 1年夏から出場する太田侑希(加藤学園)は走攻守の三拍子が揃う中堅手。シュアな打撃で広角に弾き返し、50m走6.0秒の俊足を生かして塁上を駆け抜けます。守備も上手く、ヒット性の打球をアウトに変えて投手を助けます。

加藤学園打線を牽引する太田侑希
加藤学園打線を牽引する太田侑希

 プロ志望の岡村シルバー魁人(静岡学園)はナイジェリア人の父を持ち、身体能力が抜群。50m走5.8秒で駆け抜ける脚力に、滞空時間の長い本塁打を放ちます。

 2年生では曽布川ザイレン(浜松商)と中野桜佑(静岡)。ともに長打力があり、一球で仕留めてスタンドまで持っていきます。

著者 栗山司
くりやま・つかさ 1977年、静岡県生まれ。スポーツライター・編集者。雑誌『野球小僧』の編集者を経てフリーに。2012年に地元・静岡に根差した野球雑誌『静岡高校野球』を自費出版で立ち上げ、年2回発行。ブログ『静岡野球スカウティングレポート』(http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/)でも県内の野球情報を発信する。
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