【ビッグモーター】社長が社員に向けメール 各店舗に利益上積み求める…「給与補填の継続難しい」

 保険金の不正請求や店舗前の街路樹伐採など、様々な“疑惑”が浮上しているビッグモーター。8月31日には京都で中古車の買い取り査定を巡り、ビッグモーター社員の男がライバル企業の男性と口論になり、肩を突き飛ばしたとして、暴行の疑いで逮捕されています。暴行事件があった日と同じ8月31日。ビッグモーターの和泉伸二社長は、社員に向けて1通のメールを送っていました。

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『当社はコンプライアンスを最優先にする』

ビッグモーター 和泉伸二社長が社員に送ったメール
「『当社はコンプライアンスを最優先にする』という方針は全く変わりません」

 メールが送信されたのは午前10時すぎ。暴行事件があったのは午後0時半ごろ。トラブルが続く社内で、暴行事件が新たな混乱の1つとなってしまいました。

 メールの冒頭にはこんな記述も。

ビッグモーター 和泉伸二社長が社員に送ったメール
「大変な猛暑の中、不安を抱えたお客様への対応1カ月間、本当にお疲れ様でした。店舗の皆さんには会社側の問題で本当にご迷惑をおかけしたことを改めてお詫びします」

給与補填の『継続厳しい』…利益上積みを

 メールで社員への労いと謝罪を述べた和泉社長。件名には「9月度に向けて通達(MQ確保)」と書かれています。ビッグモーターの経営計画書によるとMQとは粗利益のこと。なぜこのようなメールが送られてきたのか。その理由も明記されていました。

画像1: 給与補填の『継続厳しい』…利益上積みを

ビッグモーター 和泉伸二社長が社員に送ったメール
「7月末に私が皆さんにお伝えした『社員の生活の安全向上を図る』という思いで、マージン補填のお話をさせて頂いているのは承知の事と思います。実際8月を1カ月運営してきましたが、正直店舗のよって実績(MQ)の差が大きく開き、これが9月もそのまま続くと、継続した補填をすることが厳しくなると懸念しています」

 ビッグモーターでは営業職の給与に「インセンティブ制度」を採用していて、売れば売っただけ、買い取れば買い取っただけ、その利益の数パーセントを給与に反映してもらえる制度となっています。ところが、一連の騒動後にはその販売や買い取り数が極端に減ってしまったため、救済措置として騒動前の4・5・6月の成績からマージンを算出し、給与を補填する仕組みが8月から採用されていました。

 それが1カ月もたたずして「継続が厳しい」というのです。

ビッグモーター 和泉伸二社長が社員に送ったメール
「全員で会社を守り未来に繋げるしかありません。ここからは存続をかけた本気の戦いがはじまります。どうか全社員一丸となって信頼回復に努めていきたいと思います」

画像2: 給与補填の『継続厳しい』…利益上積みを

 メールのなかで、板金など整備工場のある店舗では500万円、買い取りなどをメインに行う小規模の店舗では250万円の上積みの利益が必要と説明した和泉社長。

 一方でビッグモーターの出費は大きく、8月18日には借入金90億円の借り換え要請を取引先の銀行団に拒否されたため、この90億円を完済しています。

 また、県内では除草剤の使用が判明した浜松市と富士市の店舗前の街路樹について、その原状回復に伴う費用をビッグモーター側が支払う方針を示しています。今回のメールはそうした焦りから来たものなのでしょうか…。

 再び、以前のように「いきすぎた利益追求」をする会社になってしまうのか、騒動から1カ月あまりが経ち、中古車販売大手のビッグモーターは“岐路”に立たされています。