相次いで盗まれる橋の名が書かれた金属製プレート「橋名板」被害が続く理由とは

橋に掛かった「橋名板」という金属製のプレートが盗まれる事件が
静岡県内で相次いでいます。背景に何があるのでしょうか。

林 輝彦アナウンサー:
「磐田市の中平松という場所に来ています。周りは田んぼが広がっていて、近くには小学校もあり、とても静かな場所です。今時間は午後3時です。日中のこの時間帯は、ほとんど車通りもなく人が歩いている様子もありません。今、私が立っているのは橋なんですけれども、その橋に取り付けられている橋名板、橋の名前が書かれた板が盗まれてしまったんです。無理やり橋名板を取ったのでしょうか。こちらは向こう側に少し曲がっているのがわかります。この橋には4枚この橋名板があり、全て盗まれてしまったということです」

 8月から9月にかけ、静岡県内では少なくとも6つの市で被害が確認されています。

 愛知県と隣接する湖西市では、8月市内4カ所で合わせて14枚が盗まれました。

 また、磐田市では、2カ所で6枚、袋井市では3カ所10枚、掛川市では4カ所16枚とそれぞれ被害に遭っています。

 これまでは県西部で頻発していた被害ですが、9月に入ると変化が・・・。

 県中部の島田市や藤枝市でも橋名板がなくなっていることが判明したのです。

これまでに、県内ではあわせて26カ所の橋で90枚のプレートが盗まれ、被害額はあわせて466万円にのぼっています。

 磐田市にある中平松橋では、橋がつくられた1994年に取り付けられた1枚5万円(当時)の橋名板4枚が全て盗まれてしまいました。

Q元々橋名板はどういう風に取り付けられていたんですか?

磐田市役所道路河川課 清水康雄主任:
「元々ここに今残ってるのがベースの部分になるプレートになりまして、このプレートはこの欄干に溶接で付いています。でこの上に、このボルトの部分がここの穴を通してですね。橋名がここについて、ボルトで4カ所で固定されていた形になります。ちょっとこのベースのプレートの部分も曲がってたりするものですから、ちょっと強引に外したのではないかなというところも感じ取れます」

 この橋では、地元の自治会長が今月3日に橋名板がなくなっていることに気付き市に連絡。

 翌日4日に市が現場を確認し、警察に被害届を提出し、受理されました。

 磐田市によるその後の調査で、橋名板は今年4月にはすでに盗まれていたことが発覚しています。

Qもし発見されなかった場合、この橋名板どうされるお考えですか?

磐田市役所道路河川課 清水康雄主任:
「そうですね同じものを付けるとまた、盗難に遭う可能性もありますので、材質ですとか、あとは設置の方法を今検討しているところなんですけれども、そういった形で次につける時はそういった盗難対策を考えた設置方法、材質等で考えていきたいと思います。」

藤枝市や浜松市でも

 そんな中、きのう新たな被害が発覚した橋が・・・

林 輝彦アナウンサー:
「藤枝市では、新たに橋名板が盗まれる被害がありました。それがこちらの場所です。橋の名前が分かりません。また、この橋名板の基礎部分に付いていたのでしょうか、下には、ナットがついたボルトなどの部品が落ちています」

 橋名板が盗まれたこの橋の名前は神楽田橋。

 藤枝市では15日に緊急パトロールを実施していて、市内7つの橋で、23枚の橋名板が盗まれていることが判明しています。

 実は、今回被害が発覚した神楽田橋の橋名板はパトロールの時点ではついていたのです。

 ところがきのう午前9時、警察から市に1本の通報が・・・

「神楽田(かぐらだ)橋の橋名板が紛失している」

 通報を受け、駆け付けた市が確認したところ、神楽田橋についていた4枚の橋名板全てが無くなっていたといいます。

地元住民からはこんな声が・・・

Q橋名板がなくなっていることに気がついた?

地域住民:
「あんまり気にしていたことなかったんですけど、なくなったなって思います。びっくりしました。どういったことに使うのかなっていう、困りますよね」

 藤枝市はきのう付で警察に被害届を提出しています。

 また、つい先ほど浜松市は去年、今年の2年間で37の橋から128枚の橋名板が盗まれたということです。
 
 被害額はあわせておよそ640万円。

 浜松市は、緊急巡回点検やボルトネジを潰すなどの対応を取っています。

金属を扱うリサイクル会社では

 なぜ、「橋名橋」ばかりが盗まれているのか?

 背景の一つとして考えられるのが橋名板に使われている銅やしんちゅうが他の金属に比べて買取価格が高いこということです。

 実際に金属の買取も行っているリサイクル企業では

堀優奈アナウンサー:
「こちらの会社では、銅の買い取り価格がキロ1250円となっています」

稲葉商店 稲葉一剛代表取締役:
「銅やしんちゅうも長い面で見ますと、20年30年前から比べればもう3倍とか高値で今推移しております」

 静岡市内の別のリサイクル業者によると、鉄の買取相場は1キロあたり20円前後なのに対し銅は600円~1000円。

 しんちゅうはおよそ500円だそうです。

Q1枚の橋名板でいくらぐらいになるんでしょうか?

稲葉商店 稲葉一剛代表取締役:
「橋名板ですと、どうでしょう。せいぜい3キロ5キロとかですので、今5キロとしてどうでしょう。500円として2,500円とか数1,000円ぐらいにはなるかなとは思います」

 なぜ、橋名板が狙われやすいのか、見立てを聞いてみました。

稲葉商店 稲葉一剛代表取締役:
「橋名板の場合、別に警備員が立ってるわけではないので、盗みやすいのもありますしという感じですね。割と手で持てるような軽いものでもそこそこの金額にはなりますので、そういった面では扱いやすいのかなという感じはします」

 橋名板にはその名の通り橋の名前が書かれています。

 足がつきやすいようにも思えますが・・

稲葉商店 稲葉一剛代表取締役:
「溶かすまではどうかな、と思いますが、ちょっと見にくいようにちょっと折ったりですとか、あるいはちょっと車で踏んで曲げたりとか、そういった可能性はあると思います」

 こちらの会社では買い取りに関して県から許可を受けていて、一般の客には免許証のコピーなど、身分証の提示を必ず求めています。

稲葉商店 稲葉一剛代表取締役:
「弊社のような許可業者に、結局持ち込まれますと、それが警察とか県の方に報告が行くもですから、なかなか我々のようなところには来ないのではないかと思います」

 一方で身分証明書の提示を求めない業者もいるそうです。

稲葉商店 稲葉一剛代表取締役:
「無許可の買取業者がいますので、そちらの方に行っても買い取りができるもんですから、そういった方に行っているのではないかなと思います」

 橋名板は、誰が何のために持ち去ったのか。

 捜査関係者によると、警察は転売目的も視野に調べを進めているということです。