ガソリン高騰でクリーニング店も『死活問題』 「ガソリンはすぐ値上げするがクリーニング代に転嫁できない」 静岡市
静岡市内にある個人経営のクリーニング店。50年以上、親子2代にわたって店を切り盛りしています。個人経営のクリーニング店に多いのが、衣類の集配サービスです。
クリーニングすずき 鈴木貴博さん:「本当は店でずっと待っていればいいんでしょうけど、ライバル店もあるし、チェーン店で安くやるところもある。それに対抗するには、配達してほしい人にはそれを狙って行くしかない。そういうのを取って、初めてお客さんをとれる、待っているだけではなかなか難しい」
集配サービスは月曜日と木曜日の週に2回行っていて、1日に、およそ40軒まわっています。移動するのは半径3㎞圏内ですが、客の要望通りの時間に集配に行くため、走行距離は60㎞から70㎞にもなるそうです。
クリーニングすずき 鈴木貴博さん:「お客さんによっては、午前中の方がいいとか午後の方がいいとか。共働きの人は昼間いないから夜がいいとか、そういうのに応じていかないとお客さんがとれないと言ったら変だけど、ある程度お客さんの要望聞いてまわっている。効率は悪いかもしれない、同じところ朝通ったところをまた夜も通らなければならない場合もある。それは仕方がない。全部一緒に40軒ずっとまわっていれば、午前中で終わっちゃうのかもしれないが、お客さんの都合に合わせないと、そこが個人店の強みでもあり、無駄じゃないけどガソリンとかそういう労力を考えるともったいないところでもある」
取材した日は、集配の日ではありませんでしたが、客の要望に応えて配達を行っていました。個人経営の店が生き残っていく上で欠かせない、衣類の集配サービス。しかし今、ガソリン価格の高騰が死活問題となっています。
クリーニングすずき 鈴木貴博さん:「ガソリンはすぐ値上げするけど、それをクリーニング代に転嫁できないので、そこが悩みの種。クリーニング屋さんが何かしら企業努力で、その辺は補っているか、涙を流しているか、どっちか」
8月31日木曜日は集配の日、給油をしにガソリンスタンドへ。
クリーニングすずき 鈴木貴博さん:「ここが一番安い。あすには、(ガソリン価格が)上がっているかもしれない。2週間前に入れた時より上がっている。ガソリンが上がると痛い。まだ上がるかという不安と無駄な走りはできないと思う」
Q.新たな補助金制度については?
A.「下がることはいいこと、それが続いてくれれば、なおいいこと。とにかく1円でも下がれば大分違ってくるのでそれを願うばかり」
クリーニング店にとって悩みの種は、ガソリンの値上がりだけではありません。店で使用されているアイロンや水洗機、乾燥機などほとんどの機械が、ボイラーでつくり出す水蒸気で動いており、その燃料である灯油の高騰が経営を圧迫しています。
クリーニングすずき 鈴木貴博さん:「3カ月前と比べ、リッター10円は上がっている。うちでは月に500リットルぐらいは灯油を使うので単純に5000円から6000円は変わってくる、年間にしてみるともっと変わってくる、だからなるべく使わないように節約してボイラーも使うようにしている」
こちらのクリーニング店では経費の見直し、また来年春以降の値上げを検討していると言います。
クリーニングすずき 鈴木貴博さん:「ビニール、ハンガー、洗剤全部石油でできているものが上がっているので、(経営が)圧迫されてくる。どこかでは(クリーニング代を)上げないといけない」
値上げも検討せざるを得ない危機的状況ですが、当面は企業努力で乗り切りたいと言います。
クリーニングすずき 鈴木貴博さん:「ガソリン代、灯油代が上がらないことを願って、ちょっと先は読めないところもあるがサービス、労力で補っていくしかない」
(8月31日放送)