ダンプカーで7万7000台分以上の大規模盛り土…川勝知事が視察「厳しく臨んでいきたい」 /今週の静岡

静岡県 川勝平太知事(24日)「杉尾地区の方は5万立方メートル、日向地区の方は35万立方メートル強ということで、5万立方メートルとはいえやっぱり巨大な盛り土であるなと。35万立方メートルというのはものすごいなと」

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ダンプカーで7万7000台分以上の大規模盛り土…川勝知事が視察「厳しく臨んでいきたい」 /今週の静岡

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 24日の定例会見で川勝知事が語ったのは、静岡市内の大規模な盛り土に関してでした。静岡市葵区の山間部に位置する「杉尾地区」と「日向地区」に造成された違法な盛り土。2つの地区の盛り土は、おととし、甚大な土砂災害を引き起こした熱海市の伊豆山に造成された盛り土の5倍以上。土砂の量は杉尾地区が5万立方メートル 日向地区が37万5000立方メートル。合わせると ダンプカーでおよそ7万7000台分以上にもなります。県が確認している県内の違法な盛り土の中で最も規模が大きいということです。

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「週に3~4日大きなダンプカーが通っていた」

伊地健治アナウンサー(静岡・葵区杉尾 18日):「静岡市の中心部から車で1時間ほど、国道362号を山間部のほうに上がってきました。あちらには雄大な景色が広がっている。ただ、ここには、およそ2ヘクタールにも及ぶ違法な盛り土がされていることが分かった」

 この盛り土に関して、近くに休憩所の管理人が土を運び入れている様子を見ていました。

休憩所の管理人
「週に3~4日くらいは結構大きなダンプカーが通っていた。1日に3・4回は通っていた。おととしの5月くらいからはあった」

 県河川砂防管理課によると、「杉尾地区」に盛り土を造成した業者は静岡市内の事業者。違法な盛土はおよそ1.9ヘクタールと推定されていて、事業者による造成は2018年ごろから始まったとみられるということです。県は2019年2月に口頭で行政指導を行ったところ、業者は「検討する」と回答。しかし、土砂の搬入は止まらず、おととしの1月まで続きました。現在は業者の出入りはないといいますが、杉尾地区は土砂災害警戒区域に指定されていることもあり、管理人の不安は消えません。

休憩所の管理人
「休憩所をやっている手前、休みに来てくれた方に危険が及ぶとなると、すごく怖い。大雨が降れば崩れてこないかというのは心配になるし、その心配材料の一つになっていると考えると、あまり褒められたことではないと思う」

川勝知事が盛り土を視察

 杉尾地区に隣接した日向地区の盛り土はさらに大規模だといいます。

伊地アナ:「盛り土の搬入口とみられる場所がここ。立ち入り禁止の看板もあり、明らかに人口的に造られた傾斜がある。ここから搬入経路は2つに分かれていて、右手が杉尾地区。左手はあちらの奥に見える山の向こう側にまでつながっていて、そこでも違法な盛り土が造成されている」

 日向地区に造成された違法な盛り土の面積はおよそ6ヘクタールで、杉尾地区の3倍以上。日向地区の盛り土も、杉尾地区と同じ市内の事業者が介入していて、土地の所有者も事業者名義です。

画像: 川勝知事が盛り土を視察

各務実来記者(静岡・葵区杉尾 23日)
「盛り土が造成されたとされる現場に知事が入りました。これから県職員らと視察するとみられます」

 23日 川勝知事はこの違法大規模盛り土を視察。土地の図面を見たり、担当課の職員から説明を受けたりしながら、視察はおよそ1時間にわたり行われました。

 そして視察を行った川勝知事は24日の定例会見で…

静岡県 川勝平太知事:「これからは盛り土条例にしたがって、我々としては厳しく臨んでいきたいと思っています」

川勝知事「県としては厳しく指導している段階」

 定例会見で、川勝知事がこの盛り土問題に言及しました。

画像: 川勝知事「県としては厳しく指導している段階」

静岡県 川勝平太知事:(24日):「杉尾地区の方は5万立方メートル、日向地区の方は35万立方メートル強ということで、5万立方メートルとはいえ、やっぱり巨大な盛り土であるなと。35万立方メートルというのはものすごいなと。5万立方メートルの杉尾地区の方は700mほど先のところに1軒、人がお住まいになっている家があると。一方、日向地区の方は沢が川にぶつかって、そして右に折れて2キロほど先のところに人家があると。だから、むしろ杉尾地区のほうが危険だということだったわけですね。いずれにしても、これはちゃんと届け出て、きちっと盛り土の許可も得なくちゃいけないんですが、それがなされないまま今日に来ているので、県としては厳しく、今この盛り土をした方に指導している段階だということで、社長が変わられたそうですが、この若社長の方は協力的であると聞いている」

 県は2005年に住民からの通報を受け、日向地区の盛り土の存在を把握。2006年には事業者に口頭で注意したほか文書でも指導しましたが、事業者は「自分の土地に土砂を捨てているだけ」と応じなかったということです。

 一方、杉尾地区の盛り土の造成は2018年ごろに始まったとみられ、県はその翌年に口頭で行政指導を行い、業者は「検討する」と回答したそうです。

 しかし、その後も2カ所への土砂の搬入が止まることはなく、2021年1月ごろまで続いていたとみられます。

後手に回っている…記者の厳しい質問に川勝知事は

 同じ年の7月に熱海市で土石流災害が発生。その後、県は杉尾地区と日向地区に盛り土を造成した事業者への指導を再開しましたが、これまで強制力のある撤去命令は出していません。後手に回っているように思える、行政の対応。その経緯について川勝知事は…。

静岡県 川勝平太知事:「これまでは我々の盛り土条例のようなものがありませんでしたから、できる裁量のことをしてきたというのがこれまでだったと思います。しかし、これからは盛り土条例にしたがって、我々としては厳しく臨んでいきたいと思っています」

画像: 後手に回っている…記者の厳しい質問に川勝知事は

Q.新しい条例がなくてもそこが砂防指定地で、砂防指定地管理条例違反というのが明確に分かっている状況が続いていて、それに基づいて罰則が厳しくなくても命令や代執行などができたと思うんですが?

A.「確かにその通りなんですが、ここは盛り土した方の所有地なんですね。ですから、厳しい対応を所有者がなさって、『自分の土地だから何を文句を言うか』と、そういうタイプだったと私は報告を受けました。やるべきことをやっているんですけれども、やっぱり厳しい法令とか条例とか、ちゃんと根拠がなければ強く出られません」

 警察は県の砂防指定地管理条例違反の疑いがあるとして、県と連携して捜査しています。

静岡県 川勝平太知事:
Q.これまでの対応に問題はなかったということでよろしいでしょうか?

A.「現場主義が徹底していなかったことは大反省点じゃないでしょうか」

Q.今回の杉尾・日向の場合は職員が指導という形で関わり続けていたという点から対応には問題がないとおっしゃっているということでしょうか?

A.「難しいですね。指導をしているわけですね。だけど、聞いていただけなかったというのが現実のようです。話せばわかる人が必ずいますので、どういうふうにするかということも合わせて、説得力というのもこれからの担当者に求められる資質かなと思います」