全国の子どもたちが「トーマス号」に乗りに 台風被害から全線復旧できず「折り返し運転」も人気変わらず 静岡・大井川鉄道

伊地健治アナウンサー(島田市・新金谷駅 3日):「ゴールデンウィーク後半に突入した大井川鉄道の新金谷駅です。このあとトーマス号が出発するんですが、それに乗ろうというお客さん。全国から集まってきています。あちらの車、神戸のナンバーですね、そして、乗客の皆さんが車を止めている駐車場、もう満車状態になっています」

画像: 全国の子どもたちが「トーマス号」に乗りに 台風被害から全線復旧できず「折り返し運転」も人気変わらず 静岡・大井川鉄道 youtu.be

全国の子どもたちが「トーマス号」に乗りに 台風被害から全線復旧できず「折り返し運転」も人気変わらず 静岡・大井川鉄道

youtu.be

山形県から8時間かけてきた人も…

画像: 山形県から8時間かけてきた人も…

 大井川鉄道の「名物広報」山本さんの案内で、「トーマス号」に乗せていただくことに…。

 改札口を先頭にした行列は、駅の外まで。

伊地アナ:「今、改札口が開きました。トーマス号に乗ろうと全国から集まった子どもたち、家族連れが、いまホームに入っていきます。皆さん、客車に乗るというよりは、まずトーマスと対面して感激して、ここに立ち止まって、写真を撮りまくっているという状況です。ゴールデンウィーク最高の思い出になりそうです」

乗客 浜松市から
Q:ゴールデンウィークは、ここ以外に出掛ける予定は?
A.「まあ、いろいろ」
Q:きょうが一番のメインイベント?
A.「そうですね、浜松まつり行こうと思っただけど、まあ、コレ(トーマス号)優先で」
Q:トーマスのほうが?
A.「そうです、孫優先で」

乗客 山形県
Q:きょうはどちらから?
A.「山形ですね」
Q:どうしてトーマスに乗ろうと?
A.「この子がトーマス大好きで」

Q:きょう初めて?
A.「初めてです」
Q:山形からだと、たいへん時間かかったのでは?
A.「すごい遠いですけど」
Q:車ですか?
A.「車です」
Q:何時間ぐらいかかるんですか? 山形から
A.「8時間ぐらいかかりましたね」
Q:それでもトーマスに乗りたい?
A.「そうですね」

Q:ぼく何歳ですか?
A.「3さい」
Q:トーマス見てどうだった?
A.「たのしかった」
Q:トーマスの顔はどんなだった?
A.「かわいかった」

乗客 浜松市から
Q:どういった理由からトーマスに乗ろうと?
A.「この子がトーマスすごく好きで、それもあってみんなで見たいなと思って」
Q:一番下のお子さんが?
A.「そう」
Q:災害の影響で一定区間を折り返しということですが、それについては?
A.「少し短いとはいえ、乗れるだけですごく楽しいですね。ここまで(レールを)つなげるだけでも、いろいろな方がご尽力されたと思うので、それを思いながら、感謝の気持ちをもちながら乗りたいですね。ぜひ全線開通したら、また乗りに来たいと思いますね」

出発進行!

画像1: 出発進行!

 午前10時38分、いよいよ「トーマス号」が出発です!

伊地アナ:「今ゆっくりと動き出しました。トーマス号が新金谷駅からゆっくり動き出して、客席の子どもたちの間からは歓声が上がっています。みんなホントに嬉しそうです」

画像2: 出発進行!

伊地アナ:「このトーマス号、7両編成なんですけれども、ほぼ満席で、500人以上の乗客が乗っているということです」

伊地アナ:「あっ、門出駅だ、たくさんの人が写真を撮っています、うわぁ、すごい人。みんな写真撮ってる、すごいですね、やっぱり沿線のこうした皆さんの温かいトーマス号へのまなざしというのを感じますね、乗っていると」

去年9月の台風で線路が土砂に埋まる

 「トーマス号」の運行区間は、新金谷駅から家山駅までとなっています。そのわけは…。

画像: 去年9月の台風で線路が土砂に埋まる

伊地アナ(去年9月)
「崩れたその先を見てみますと、この下には大井川鉄道の線路が走っています。その線路も土砂で完全に埋まってしまっています」

 去年9月の台風15号によって、大きな被害を受けた大井川鉄道。現在、家山駅から千頭駅まの、10の駅の間は列車が走れないため、「トーマス号」は、新金谷駅を出発して、新金谷駅に戻って来る「遊覧運行」という形をとっています。

折り返し運転…帰りは「後ろ向き」で走行

大井川鉄道広報 山本豊福さん
Q:どうやってトーマスを運行しようか考えて、知恵を出し合った?
A.「家山までで往復にしますと、片道で千頭に行くのと同じ距離、時間を確保できる。そこでこの運転形態をとりました」

画像: 折り返し運転…帰りは「後ろ向き」で走行

 このため、家山駅からの「帰り」の「トーマス号」は、後ろ向きで走行します。

伊地アナ:「一時期は災害で不通になっていた大井川鉄道ですが、大井川鉄道の風景が戻って来た感じがします。乗客もみんな笑顔です」

 そして、「帰り」も門出駅では、大勢の人が「トーマス号」に手を振ってくれます。さらには、並走している車からも…。なごやかな雰囲気を感じられる「ひと時」でした。

伊地アナ:「新金谷駅に到着です。1時間ちょっとの折り返しの旅でしたけど、皆さん満足そう」

乗客 三重県から
Q:子どもたちの様子は?
A.「とても興奮していました、特に汽笛が」
Q:トーマス乗ってどうだった?
男児「たのしかった」
Q:どんなところが楽しかったの?
男児「走ってたところ」

トーマスを間近で見られるスポットも

 続いて、山本さんに案内されたのが…。

伊地アナ「すごい人ですね」
山本さん「ここの場、トーマスフェアといって、ここから先が有料エリア。トーマスを間近で見ることができます」

 「トーマスフェア」の会場では、「トーマス」を間近で見学できるスポットが盛りだくさん。まずは、転車台です。

画像: トーマスを間近で見られるスポットも

伊地アナ「トーマスが転車台の上で回り始めました。周りは鈴なりの人人人です」
「トーマス号にホースが取り付けられました。水を送るホースです。トーマスは1回運行するごとに3トンから4トンの水を消費するということです。このように水をいわば飲ませているということです」

 お弁当や、おみやげを販売しているコーナーも大勢の人で混雑していました。

東京都から来た親子
Q:ゴールデンウィークの思い出として、トーマス号のおみやげも欠かせない?
A.「そうですね、記念に」
Q:予算は?
A.「いくらぐらいですかね、考えていないです」

伊地アナ「あっ、また入れた、トーマスグッズ3つ入りました」

広報の山本さん「何年かぶりにいい手ごたえ」

画像: 広報の山本さん「何年かぶりにいい手ごたえ」

大井川鉄道広報 山本豊福さん
Q:トーマスを運行できることは大きい?
A.「鉄道事業、物販事業、バス・旅行事業も、トーマスをきっかけに売り上げを確保できるわけですから、トーマスの力は大きい」
Q:ゴールデンウィーク手応えは?
A.「手応えは感じています。まずはいい結果を残せるのではないかと、何年かぶりに、というふうに思っています」

 「トーマスフェア」は、新金谷駅にあるメイン会場のほか、千頭駅の「サテライト会場」でも開催しています。

 現在、マイカーや「列車代行バス」を使わないと行くことができない千頭駅の様子は、どうなっているのでしょうか。

「代行バス」で行く千頭駅周辺は…

画像1: 「代行バス」で行く千頭駅周辺は…

伊地アナ
「トーマスフェアは、ここ川根本町の千頭駅でも行われています。子どもたちの姿も見えますが、例年に比べると、お客さんの数は少ないようなんです」

 家山駅から千頭駅の間が、不通区間となっているため、マイカーや「列車代行バス」を使わないと、「サテライト会場」に来ることができません。

 その影響は、千頭駅前の飲食店にも及んでいました。

画像2: 「代行バス」で行く千頭駅周辺は…

caf?うえまる 山本敦子店長:「コロナ前と同じぐらいに、(客数が)戻りつつあるのかなと思うのですが、やはり、今、大鉄さんがここ(千頭駅)まで来られないので、その点では、コロナ前よりも、少し落ち着き気味な感じはしますね」
Q:鉄道が全線開通していないことの影響はありますか?
A.「ありますね」
「代行バスが走っているが、(乗車できる)人数が限られてしまうので、そういう意味ではSL、電車がこちら(千頭)まで走ってくれることを強く願っています」

復旧費用は19億円…国と県に支援要請

伊地アナ(千頭駅):「この時期は、本来であればトーマスの仲間の「きかんしゃ」と並んで、新金谷からやってきたトーマス号が、ここに入って4両並んで記念写真を撮れるはずだったが、去年9月の災害以降、半年以上、ここの線路には車両がきていません。ですので、レールを見ると、表面がびっしりとサビで覆われているのが分かります」

 家山駅から千頭駅までの状況は、どうなっているのでしょうか?

大井川鉄道広報 山本豊福さん
Q:具体的に何カ所? どういう状況?
A.「おおよそ26ですね、土砂崩れとか、山の上から土砂が線路に入ってしまっている」
Q:それが今、まだ手付かず?
A.「全然手を付けていない状態です。というのも元手となる費用を今、捻出するのが難しい」

画像: 復旧費用は19億円…国と県に支援要請

 大井川鉄道によりますと、現在不通となっている区間の復旧費用は、概算でおよそ19億円。会社としては、現状、費用の捻出が難しいため、国や県などに対し、支援を要請しています。

大井川鉄道広報 山本豊福さん
「大井川鉄道はこの地域に賑わいをもたらす存在であることを、もう1度認識していただけたら、ありがたいと思う。この連休、多くの人でにぎわっているということは、まだまだ我々を求めてくださっている人が多いんだと改めて感じます」

 今年の「トーマス号」は、週末を中心に、12月25日まで運行される予定です。