成長するキャンプ用品市場に静岡県企業が相次ぎ参入 ばね製造や建設業の強み生かし…きっかけは「遊び半分」が社長の目にとまり!?
愛知県から:「好きな時に起きて、好きなようにやって、好きなように寝てと、キャンプの魅力、一番は自由」
浜松市から:「家族との時間をゆっくり作れるのが、すごく楽しい。子どもも外で一緒に遊べるので」
半世紀のばね製造の技術生かし…
キャンプ人口はコロナ禍の2020年に一度は減るも、翌年には再び上昇。人気はいまだに衰えていません。そんな中、静岡県内に続々と誕生しているのが…。
栗田麻理アナウンサー(浜松市 沢根スプリング 21日):「浜松市にある、とある製品を造っている会社にやってきました。黄色を基調としたオシャレな会社ですね。失礼します。こちらではキャンプ用品も手がけているそうなんです」
キャンプ人気の高まりとともに注目されているのが“キャンプギア”。おととしには、その市場規模が、過去最高の998億円に達するなど活況となっています。
キャンプブームをビジネスチャンスとみて、県内企業も相次いで参入。浜松市の会社では、元々の自社の技術力を生かした製品を開発しているといいます。
ノラホリック(沢根スプリング) 中村和磨さん:「57年間、ばねを作り続けている会社で、医療現場や車などに使われている大きなばねなど様々な種類のばねの製造をしている」
ばね専門のメーカーとして、50年以上の歴史を誇る「沢根スプリング」。その金属加工技術を生かし、2年前にキャンプ用品を手がけ始めました。商品の品質を支えているのは、職人のこだわりです。
ノラホリック(沢根スプリング) 中村和磨さん:「その技術を生かして、この曲げの加工だったり、こちらのワイヤーの曲線を作ったりだとか、機械で」
栗田麻理アナウンサー:「機械で!?」
ノラホリック(沢根スプリング) 中村和磨さん:「はい。機械で補えないところを私たちが最終的に手を加えて微調整する」
参入のきっかけは「遊び半分」が社長の目にとまり
細かなところまで、職人がこだわり抜いたキャンプギア。その誕生には、チャレンジ精神を応援してくれた会社の存在があったといいます。
ノラホリック(沢根スプリング) 中村和磨さん:「もともと私はキャンプが大好きで、仕事の合間に余った廃材を使って、遊び半分でキャンプ道具を作っていたら、それを見た会社の社長や上司が声をかけてくれた」
「とにかくやってみよう」。浜松市を象徴する“やらまいか精神”から生まれたキャンプギア。アウトドアテイストを取り入れたインテリアとしても注目されています。
ノラホリック(沢根スプリング) 中村和磨さん:「こちらはランタンスタンドとなっています」
栗田麻理アナウンサー:「いいですね。曲線がまたいいですね、これ。」
ノラホリック(沢根スプリング) 中村和磨さん:「名前がツキカケといって、いろんな角度から見ると三日月に見えたり、少しこう月が欠けていくような雰囲気になるので、そこの曲線を出すことに苦労した」
実際、スタンドにランタンをのせてみると…
栗田麻理アナウンサー:「かわいい。オシャレですね」
ノラホリック(沢根スプリング) 中村和磨さん:「何もないとやっぱり少し寂しいんですけど、こうやってライトがつくと、かなりゴージャスな雰囲気になる」
建設業や中古車販売の会社は「壊れにくさ」追求
使いやすさと壊れにくさを追求し、話題を集めている県内のキャンプメーカーもあります。
栗田麻理アナウンサー(アウトリガー):「菊川市にやってきました。こちらにはオシャレで大きな車があります! 一見、車の修理工場に思えるんですが、実はこちらではキャンプ用品も作っているということなんです」
菊川市にあるキャンプ用品メーカー「アウトリガー」。元々は、建設業や中古車販売などを手がけていますが、手作りした、こだわりの製品が評判を呼び、キャンプ愛好家からも人気に。そもそもキャンプ用品を作るきっかけは何だったんでしょうか?
アウトリガー 黒田憲一代表:「これはラックというが、鉄のフレームを作ってあげて、キャンプに持っていったら、『僕も欲しい、私も欲しいになって』、じゃあ、作って売ろうか という話から始まって、『アイアンクラフト』という(ブランド名は)鉄の工作や鉄の製品という意味で、とにかく“壊れにくい”をコンセプトに作っている」
きっかけは、知人からキャンプテーブルの製作を依頼されたことでした。今では、30ものキャンプギアを手掛けるまでに。その中でも、鉄にこだわり、使いやすいと評判のフライパンが人気です。
アウトリガー 黒田憲一代表:「キャンプにこだわって作ったので、まず荷物を減らすためにお皿になる。このハンドルがとれるようになって、結構フライパンとしては厚みがあるので、熱持ちが良くて冷めにくいので、お肉が張り付きにくくてやわらかく焼けます」
県内産の材料で「オリジナルスパイス」開発
さらには、オリジナルスパイスまで開発。
アウトリガー 黒田憲一代表:「静岡の塩とニンニク・掛川の抹茶パウダー」
栗田麻理アナウンサー:「まさに静岡に特化したスパイスですね」
スパイスやハーブなどを20種類配合した独自の味は、肉料理との相性が抜群なんだそう。
栗田麻理アナウンサー
「いただきます」「スパイスのいい香りがします」
(※試食して)
「肉汁がすごいです。あとスパイスがいいですね。ニンニクですかね、すごいガツンときます」
個性豊かなキャンプギアが誕生している、静岡県。その背景には、確かな技術を持つ県内企業のチャレンジがありました。
アウトリガー 黒田憲一代表:「もう(キャンプは)ブームではなくなって、これから定着した他のスポーツのようになっていく」
ノラホリック 中村和磨さん:「せっかく買ってくれたので、長い間、その人のキャンプスタイルにはなくてはならないようなもの、その人の宝物になってもらえれば、うれしい」
ブームから文化へと定着しつつある“キャンプ”。企業の特色を生かした“キャンプギア”にも注目です。