外出10分後に土石流が…九死に一生の男性が本を出版へ 静岡・熱海市
引っ越した直後に自宅が全壊
前に進もうとする気持ち、進まない現実…。交錯する思いを取材しました。
熱海市内の市営住宅で一人で暮らす徐浩予(じょ・こうよ)さん(28)。日本の文化を学ぶため、2015年に来日。その後、「熱海」の景色に惚れ込み、民宿を始めようと、去年6月、東京から伊豆山地区に引っ越しました。
Q.お味は?
自宅が全壊 徐浩予さん:「いいと思います」
「私は6月25日に伊豆山に引っ越しました。土石流一週間前。土石流は、7月3日の午前10時半ごろです。私は、午前10時20分にコンビニに行きました。ちょうど10分前で命が大丈夫だった」
辛くも難を逃れた徐さん。
徐浩予さん:「うちは一番、山の上です。見えないですね」
越してきたばかりの家は、このありさま。隣の家の知人も犠牲になりました。
徐浩予さん:「27人の命を返してほしいです」
ボランティアとしても活動
徐さんは、発災後、国内にいる中国人の友人などに支援を呼びかけ、食料やマスクなど段ボールおよそ300箱分を市に寄付。ボランティアとしても活動しています。
徐浩予さん:「何かしなければという思い。熱海はいいところなので、昔の熱海に戻りたいです。船を運転したいです。私、船の免許を持っています」
自分の好きな熱海のために…。
土石流の体験を本に
3月23日、この日は、静岡市の出版社との打ち合わせです。きっかけは、「土石流で体験したこと」を本にして伝えてみないかという出版社からの提案でした。
出版社「これは表紙のこの部分になって、題名がきて、後ろにまた先生のボランティアの(写真)が来て」
タイトルは「土砂涅槃(どしゃ・ねはん)」。「土石流で奪われた人生を取り戻す」という意味が込められています。
徐浩予さん:「被災してホテルの避難所のことと。ボランティアしたことと。頑張った様子などを書きました」
出版社
「熱海市の問題だけではなく、国全体の問題、社会そのものの問題をこういう風なことがあったんだってそういった教科書になるような本にしていきたいです」
そして発災9カ月
そして、3日、9カ月が経ちました。
黙とう~
徐浩予さん:「きょうの天気は、去年の7月3日と同じです。その日に戻ったみたいですね。(9カ月)長いし短いし。早く戻りたいです。伊豆山に戻りたいです。まだ、信じられないです。いつか戻れますか…」