連携不足認め組織改革進める方針 土石流災害巡る最終報告受け静岡県が会見 新たな盛り土の存在も…
最悪の事態が想定できていなかったことが原因
静岡県
難波喬司 副知事:「結果として甚大な災害の発生、それに多くの方々の生命財産を守ることができなかった。行政対応の不十分さにつきまして、深く反省しお亡くなりになられた方々 および被害を受けた皆様に対しまして、心からおわびを申し上げます」
午後、会見を開いた難波副知事。盛り土をめぐる当時の行政対応について、第三者で作る検証委員会が公表した最終報告書について県の見解を示しました。検証委員会は最終報告書で盛り土の造成について。県と熱海市の連携不足に加えて「断固たる措置をとらなかった行政姿勢に問題がある」とし、「行政対応は失敗」と結論付けています。また検証委は県と熱海市の連携や協力関係が、2011年6月以降希薄化していたと指摘しています。
これに対して県は「熱海市に対して、是正措置の発出見送りの経緯と理由について確認すべきであった」とした上で、「盛り土の全崩壊による甚大な被害の発生という最悪の事態が想定できていなかったことが原因」という見解を示しました。
組織改革と組織文化の改革を…
また、当時の副知事や県職員に対して実施した調査結果も公表され、「懸案事項として引き継がれたとの記憶がなく、現場確認も行われていない」という回答が、大部分を占めたことがわかりました。その上で「現場の危険性を適切に認識すること」と、「危険性を除去・軽減するために組織的に対応すること」の2点に問題があったと総括しました。
難波喬司 副知事:「今後は職員一人一人が最悪の事態の想定をまず行い、どうすればそれを回避できるかという行動ができるよう、組織改革と組織文化の改革を図っていくと、進めていくということになります」
新たな盛り土の存在も
また県は、新たな盛り土の存在を明らかにしました。これまでの県の調査で、崩落した土地付近には2万立方メートルの盛り土が残っていることが分かっていますが、この盛り土の北西側と北東側に合わせておよそ1万1800立方メートルの盛り土があることが新たに判明したということです。この盛り土にはレンガやガラス片などの産業廃棄物が確認されたということです。北西側の盛り土1万立方メートルは地下水が溜まりづらく、崩落の可能性は低いと判断しました。
一方、北東側の盛り土1800立方メートル分は豪雨による崩落の危険性があるとして、県は今後撤去するとしています。県はすでに分かっている2万立方メートル分の盛り土についてはすでに排水対策工事を始めています。