道路に川のような濁流、そして猛暑…2次災害を防ぎながらの捜索活動 土石流現場の9日間 /静岡・熱海市
発災翌日(7月4日)道路に川のような濁流が…
被害の全容が見えてきたのは、一夜明けてからのことでした。熱海市伊豆山、泥に飲み込まれ、なぎ倒された住宅。元の様子は、見る影もありません。
斉藤慎一朗記者 (発災翌日 7月4日)
「発生から一夜が明けましたが、現場は今、雨が降ったりやんだりの状況が続いています。地面には道路を川のように濁流が流れています。その中を自衛隊ら数人が住宅をまわって安否の確認を進めています」
赤ちゃんの救出も…
これは警察による救出の瞬間をとらえた映像です。
「心配ない 心配ない」
出てきたのは警察官に抱きかかえられた赤ちゃんです。
「ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり…。支えろ、支えろ」
母親も無事救出され、赤ちゃんのもとに駆け寄りました。
発災4日目(7月6日) 生存信じて「一丸となって救出活動」
片山真人アナウンサー:「きょうも懸命の捜索活動が続いています。その範囲は広がっています。ただ、まだ依然として上空からも確認できますが、起点の部分からは水が流れています。この水も捜索活動、救助活動を妨げる一因となっています」
災害時の生存確率が下がると言われる72時間が過ぎたこの日、多くの土砂が流れ込んだ 逢初橋付近でも懸命の捜索活動が続いていましたが…。
記者(6日):「先ほど担架が運び込まれていました。もしかしたら行方不明者の方が見つかったのかもしれません」
そして、別の場所では。
宮﨑玲衣アナウンサー(6日):「今ブルーシートが広げられました。行方不明者の方が見つかったということでしょうか」
救助活動を続ける救助隊は。
警視庁広域緊急救助隊 柴田警視
「現在も一丸となってたくさんの方を助けようと。そういう強い思いで救助活動にあたっている。ここまで坂が勾配になっているとは予想していなかった」
発災7日目(7月9日)妻を探して連日現場を訪れた夫
土石流の発生から7日目。朝から弱い雨が降ったりやんだりを繰り返す不安定な天候の中、被災現場では、1700人態勢で捜索活動が続きました。
静岡・熱海市 斉藤栄市長(9日):「安否不明者は1人の死亡が確認されています。田中路子さん。女性70歳」
この日、死亡が確認された田中路子さん。
田中さんの夫と記者
記者「きょうも中に行くんですか」
田中さん「中に入る」
夫の公一さんは、連日妻を探して現場を訪れていました。あの日、15分ほど家を空けた間に自宅が土石流に襲われました。
田中公一さん(71)
「11時25分に不在着信がきている。で、26分、32分、42分…。やっと子育てが終わって、孫ができて、これで人並みの親のつとめが終わったかなという感じ。その話を女房ともしてたんだよね」
発災8日目(7月10日)「もう悲しいです、さみしいです」いとこ亡くした男性
きのう10日に死亡が確認された太田洋子さん。対面したいとこの高橋さんが、無念を語りました。
高橋薫さん(72):「小さいときから家も近いし、きょうだいのように仲良かったです。今でも、洋子とご飯食べに行ったり、グループで食べに行ったり、洋子の家に行ったり、いろいろとやっていた。もう悲しいです、さみしいです」
発災9日目(7月11日)炎天下の捜索続く
須藤誠人アナウンサー(11日午前)
「土石流発生から9日目をむかえました。午前9時前、薄日がさして蒸し暑く感じます。そんな中、きょうも多くの隊員たちが 手作業での捜索活動をすすめています」
11日も午前6時過ぎから総勢1700人態勢で行われている捜索活動。熱海市の最高気温は32.3度まで上がり、きのう10日に引き続いて現場は炎天下での活動を強いられています。
11日には新たに古川静子さん(77)の死亡が確認されました。これで土石流による死者9人のうち身元不明者はいなくなりました。行方不明者は1人減って18人になりました。
(7月11日放送)