土石流災害から間もなく2カ月 静岡・熱海市の避難所ホテルは期限延長 伊豆山を離れて新生活を始める家族も
26人目の犠牲者の身元判明
7月3日の発災から間もなく2カ月となる熱海市伊豆山。土砂の撤去作業と捜索が続けられる中、残る行方不明者は太田和子さん1人となっています。
そんな中、新たな犠牲者の情報も。28日に発見された遺体の身元がきのう判明し、死者は26人となりました。死亡が確認されたのは太田幸義さん64歳です。幸義さんの母親・佐江子さん(93)も今回の土石流で犠牲となっていました。
太田さんの知人
真鍋梅美さん:「お母さんもやっとあの世で安心したと思って やっと息子が帰って来たと。天国で待っていたと思うけど…」
毎日仕事で東京に通っていたという幸義さん。親子はとても仲がよかったといいます。
真鍋梅美さん:「(母親は)晩ごはんの支度をして息子さんを待っていて、息子さんは新幹線に乗る前にいっぱいある売店でなんか買って『お母さんきょうはおかず買って来たから食べよう』と言ってね 時々お土産を買ってきて、お母さんはそれがうれしくてね。だからあの事件(土石流)が本当にくやしいなと思ってね(涙声)」
避難所ホテルの滞在期限を延長
高橋諒記者:「被災者の避難場所になっているホテルの受け入れ期間は今日までですが、熱海市によると来月15日まで延長する方針だということです」
依然およそ170人の被災者が避難生活を続ける熱海市のホテル「金城館」。受け入れの期限はきょうまででしたが、次の住まいが決まっていなかったり、準備が整っていなかったりする被災者も多く、熱海市は滞在を9月15日まで延長する方針です。
伊豆山を離れて新生活を始める家族も
一方、自宅が全壊した太田滋さん。今後は熱海市に隣接する神奈川県湯河原町で新しい生活を再開します。県の補助をうけて、一家4人が住む民間の賃貸住宅を借りました。
太田滋さん:「地元に伊豆山にいたかったんですけども、そこでは該当する物件がなくて湯河原の方に仕方がなく」
湯河原町も従来の生活圏内にありますが、伊豆山地区を離れるのは苦渋の決断だったといいます。9月10日ごろにホテルから引っ越す予定ですが、懸念するのは地域のつながりが希薄になってしまうことです。
太田滋さん:「自分から積極的に情報を集めに行かないと情報的に孤立してしまいますんでそれは自分で気をつけて行っていくしかないかなって思う。地域がいかに皆がまとまってこれからよくしていくか考える」
鮮魚店主が語る複雑な胸中
未だ避難所での生活を余儀なくされている人たちや伊豆山から離れ、他の地域に移り住む人など被災者たちは様々な思いを抱えています。こうした状況に、伊豆山で鮮魚店を営む高橋さんは、複雑な胸中を明かします。
魚久 店主
高橋照幸さん:「一つの地域というか町内が半分以上流されてしまったので」
Q:仲間や友人が戻らない場合もあるが受け止めは?
高橋輝幸さん:「さみしい。うちは店をやっているので、かわいがっていただいたので。一人二人と同級生も流された方もいるので、率直にさみしいし悲しいことなので、受け止めながらも残された者にも家族もいるので、そんな方と声を掛け合って縁を大事にしていきたい」