土石流災害から1カ月 被災者「日常全てが流された」 死者22人、行方不明者5人 いまだ300人近くが避難生活 静岡・熱海市
土石流発生の最初の通報があった午前10時28分。熱海市では犠牲者に黙とうがささげられました。
静岡県 川勝平太知事
「まだ5人の行方がわかりません。発見を待ち望んでいる家族、友人、地域の方々がいます。1日も早い発見に努めなければなりません」
発生からこれまでに警察や消防、自衛隊などによる捜索で22人の死亡を確認。今も5人の行方がわかっていません。当初はスコップを中心とした手作業での捜索活動も、重機を中心とした活動に変わりました。また、3日前に現場を引き上げた自衛隊に続き、3日消防隊員も現場を後にしました。
消防指揮隊長
「無念です。けさもほんと少しの時間でも掘らせてくれと(隊員から)申し出があり、少しでも早く発見したいという気持ちに変わりありません」
遺族は…
死亡した22人のひとり・鈴木チヨセさんです。
鈴木さんの息子
「やさしくて面白い人でしたね」
チヨセさんと2人で暮らしていた息子さんが1カ月たって思うことは…。
鈴木さんの息子
「これからどうしていこうかなと、そんなことばかり考えていますね。弟と2人でなんとかやっていきますと伝えたいですね」
同じく犠牲になった田中路子さんです。
田中さんの夫
「3日目の月曜日からここで。たぶん赤くなっている木の前あたりで女房が見つかっていると思う」
夫は路子さんが見つかるまでの間、毎日、家があった近くまで足を運んでいました。今月には告別式を執り行う予定です。
田中さんの夫
「…なんとも言えないよね。前には進まなきゃいけないけど、まだ実感的にどこかから(路子さんが)来るんじゃないかっていう気持ちもありますよね」
いまだ300人近くが避難生活
この1カ月の間、多くの被災者が市内の小中学校から、ニューフジヤホテルやホテルニューアカオへ移動し、現在は金城館とウオミサキホテルに合わせて299人が避難しています。
先月26日から申請が始まった罹災証明と被災証明は、これまでに合わせて150件の申請があり、99件の発行がありました。
公営住宅や民間の賃貸住宅の受け付けも始まっていますが、入居にはまだ至っていません。
被災者「日常全てを流された」
時間が経過する中で、少しずつ、土石流が発生した起点とみられる盛り土に対して声をあげる被災者もいます。
被災者
「なぜそういうことが、副知事のいう不作為に不作為を重ねた結果こういうふうになったんだと。きちんと教えてもらいたい。で、それを調べなければならない」
被災者
「当たり前のように過ごしていた日常すべてを流されてしまった。だれかの責任であれば責任のある人が謝るべきだと思うんですけど、それがうやむやにされてしまっているというのが、私は我慢できない」
行方不明者の捜索と土石流発生の原因究明はなお続きます。