土石流で妻を亡くし1年1カ月… ふるさと伊豆山に自宅を再建 ゆっくり歩みを進める男性の決意とは 静岡・熱海市
発災から1年 7月3日
発災から1年となった、7月3日。
田中公一さん:「お水をこの中に新しいの注ぎ足して。ここ、ここ、はーい」
田中さんは離れて暮らす子どもや孫と、かつて自宅があった場所を訪れていました。
田中公一さん:「早いような。もう1年かという感じですよね。前向いて行くしかないから、相変わらず仕事と遊びと」
妻の路子(みちこ)さん、土石流で亡くなりました。
田中公一さん:「(孫と)ちょうど1カ月で別れた。もう歩いて、なにか問いかければうんうんと返事するし、そういう姿をもっと見せてやりたかった。報告ですよね。こんな大きくなったと」
市営住宅でひとり暮らし
発生翌日、田中さんは路子さんを探していました。
田中公一さん:「11時25分に不在着信が来ている。25分、26分、32分、42分…。それで気が付いて俺が47分に発信したけど、応答がなかった」
発災前、田中さんは近くに住む知り合いの安否を確認するため家を出ました。路子さんが見つかったのは、発災の5日後でした。
市営住宅で、ひとりで暮らす田中さん。ふるさと伊豆山に新しい家を建てるつもりです。
田中公一さん(6月):「こういう風にしてやらないとしょうがないと思うんだよな。ただお墓だけあれしても。そうじゃなくて、やっぱり。ここが仏壇になるんだけど。路子も然りだけど、俺も先祖代々の位牌が残ったから、それもちゃんとしなきゃいけないし。そういう風にあれして、ずっと続いてきた田中家っていう、結局、元が、あそこがなくなっちゃったんだけど、他のところに。自分の地所の中に」
造園業を営む田中さん。忙しい毎日を送っています。
発災からの時の流れ…。
田中公一さん(仕事中に):「忙しい1年だよね。まずは女房探すことから始まって。見つかれば見つかったで、今度は葬儀のこととかいろんなことを考えて。そんなことをやりながら、今度は仮設住宅入居とかって、その都度その都度いろんなことが順番に巡ってくる。早かったような、遅かったような微妙な感じ」
新しい家で…
7月中旬、新しく建てる家の間取り図が出来上がりました。
田中公一さん(自宅にて):「玄関を引き違いにして、中に入って上がって、上がりきりで、ここも引き違いで、あと、リビングキッチン、ダイニングと。これで最終決定だよ」
新しい家を建てるのはかつての自宅から車で3分ほどのところ。
田中公一さん:「この辺まで(家)が来ると思う。向こうが1メートルくらい空けて、ずーと来て、今の見通しで軽トラの後ろくらいの手前。
ここにいれば誰か知ってるのが(クラクション)をならしてく。仲間が集まってくるんじゃない。仕事行ってるかどうかなって、様子を伺いながら。いればおーい、いるーて。ゴルフ談義したりさ、いく日に行こうよとか」
住み慣れたふるさとでこれからも。作業小屋の解体は8月中に始める予定です。