【熱海土石流】なぜいま? 復興計画変更(後) 斉藤市長に聞く…なぜ、こんなに時間かかった? 災害2年…いまだ227人避難
熱海市 斉藤市長「新たな計画に反対の声はない」
静岡・熱海市 斉藤栄市長
Q.去年9月に復興計画が出されて8カ月経過している。ここまで変更するのに時間がかかった理由は? 当初の復興計画も、被災者の意向が元になって立てられたものかと思うが、(被災者の)意見が細かく吸い上げられなかった反省はある?
A.「大きな方針を我々から出して、それに対して(被災者への)アンケートで約130世帯から回答をもらい、それを丁寧に吸い上げた。『(新たな計画)9割補助』に対して、皆さんの意見を聞いたところ、それに対する反対の声はないと聞いているので、より良い方式に被災者の声を反映した、一定程度時間がかかったことは確かだが、非常に重要な意思決定だと考えている」
熱海市が、去年6月から8月にかけて実施した面談調査では、回答した124の被災世帯のうち、「現地での再建を希望する世帯」は48%、「別の場所への移住を希望する世帯」は41%、「未定」が11%となっています。
被災者とずれがあったのでは
静岡・熱海市 斉藤栄市長:
Q.「もともと市として宅地造成という計画を出していて、被災者にとってその形が一番いいだろうということで、その方針にしていたと思うが、その方針は、被災者の考えとズレがあったということだと思うが、そこについて市長はどう思う?
A.「各地の復旧の事例も見て、当初の案を考えたが、より良い方向に修正をしたと考えています」
今回明らかになった「復興計画の見直し」ですが、逢初川の川幅や、市道を拡張する計画は、継続されます。
静岡・熱海市 斉藤栄市長:
Q.逢初川の改修や市道の整備については、当初からの変更がないということだが、今後 柔軟に変更したり、住民の意見を聞く思いはある?
A.「これから補助金についての説明会を行うが、その場でも市の考え方、逢初川の改修・市道の再整備についても(説明を)行う。そういった所で多くの意見が出れば、(変更が)まったくないとは考えていない」
熱海市は、6月下旬に新たな補助金制度の説明会を開催する方針です。
被災者「住民との擦り合わせ必要」
宅地の一部が、逢初川の改修工事の予定地となっている太田さんは…。
自宅が全壊した 太田かおりさん(57):「最初に決めた逢初川と市道の計画を1ミリも動かさずに大前提として、住民の意見を頑として受け付けなかった。そこがそもそもの間違い、市がやりたいことはやりたいこととして、住民と擦り合わせて歩み寄ることが必要だった。話し合いがあれば、お互いに納得する部分もあると思う」
5月9日には、警戒区域内の道路に埋設されている、水道管やガス管の取り換え工事が始まりました。今後は、電気や通信関連の工事も進め、警戒区域が解除される9月1日までに、32棟分のライフラインを復旧させる予定です。
熱海市によりますと、132世帯227人が、現在も避難生活を送っています。
伊豆山地区の復興には、市と住民による対話、コミュニケーションが不可欠です。
(5月27日放送)