【記者解説】土石流災害…盛り土関連の今後の捜査は ポイントは「危険が予見できたか」「適切な対策が取られていたか」 静岡・熱海市
石田和外アナウンサー:盛り土問題を取材している斉藤記者です。現在、捜査はどのように捜査は進められているのか?
斉藤記者:先週から捜査が本格化しましたが、関係者によりますと、両者を仲介した不動産会社。前の所有者から盛り土の改修工事の発注を受けた山梨県の建設会社の関係先にも捜索に入ったことが分かりました。警察からは「ここ数年で前の所有者が残土を捨てていた場所を、静岡県、神奈川県に関わらず教えてほしい」などと聴取を受けたということです。
警察は盛り土をどこから運ばれてきたのか、その具体的な量、そして発災前の雨量などのデータを集める必要があり、捜査は長期化するとみられます。
捜査のポイントは2つ
石田:今後の捜査のポイントは?
斉藤:2つあります。1つ目は予見性、盛り土を造成することで災害が起きることが予見できたかという点です。これに関連して注意義務違反、危険が予見された場合、適切な対策が取られていたかどうかがポイントになります。
これは警察が県と熱海市に捜査協力を依頼して回収した資料の1つです。熱海市は前の所有者に工事の中止を要請する文書を出していました。
文書には、「土砂崩壊が発生すると、逢初川水域の住民の生命と財産に危険を及ぼす可能性がある」と書かれいて、前の所有者が予め危険を認識するタイミングはあったという見方もできます。
石田:2つ目の注意義務については?
斉藤:ポイントとなるのが「盛り土の安全対策工事」です。盛り土には適切は排水設備が設置されていませんでした。
これには前の所有者から安全対策工事発注を受けた山梨県の会社と、現在と前の所有者の3者の間でトラブルがあったようです。
Q.排水設備が適切ではなかった?
小田原市の不動産会社関係者
「簡易な施工はした。排水については。お金の払いどころを前所有者が払うのか、現所有者が払うのか、そこらへんでもめていたらしい」
工事費用の支払いをめぐるトラブルが原因で、結果として安全対策は十分なされていなかったといえます。
石田:その安全対策工事の経過を観察していた行政側の責任も問われそうですね。
斉藤:県が公開した文書には、2008年1月、少なくとも10年以上前には「台風による土石流が心配だ」と記載されています。2009年11月の県と熱海市の打ち合わせ記録に「災害がもし発生すると、行政が責任を問われる」と記載されています。
当時の熱海市の幹部は危険を認識しながらも、前の所有者について「威圧的な会社」「自分の気に入らないことがあれば怒鳴る」などと話しています。県は12月に弁護士などで構成される第三者委員会を設置し、行政側の対応について検証を進めることにしています。