新型コロナ失業は全国で7万人以上…「あと10年働きたい」元ホテルマンの再就職活動は 静岡市
原川朋華記者:「昼過ぎのハローワークでは、年齢性別を問わず様々な人が職を求めて訪れています」
静岡市葵区と駿河区を管轄するハローワーク静岡。新型コロナの感染拡大に比例するように足を運ぶ人が増えているといいます。
30年間ホテルマンとして働いてきたAさん
ハローワークに通うAさんです。
Aさん:「面接を受けられるか、確認してもらっても?」
ハローワーク職員:「はい、では確認して可であれば応募するでよろしいですか?」
Aさん:「そうですね」
30年間、派遣でホテルマンとして働いてきたAさん。9月に派遣元が廃業し、64歳で職を失いました。
Aさん(64):「派遣の紹介所が店を廃業し、それでホテルとの契約がなくなって、仕事が終わったという感じですね」
記者:コロナの影響を受けたということ?
Aさん:「そうですね。全国的にホテル関係は倒産しているところもありますし、働く人にとっては一番厳しい業界だとは思います」
Aさんは先月中旬からハローワークに通い始め、この日が7回目です。6歳から11歳の息子3人のためにも、今、仕事を辞めるわけにはいきません。
Aさん:「できたら74歳くらい、あと10年は働きたい。子どもが小さいので」
増加する失業者
6月以降、ハローワーク静岡で失業手当を受給した人は、前年より2割ほど増加。県全体では4割ほど増えています。
静岡市葵区・駿河区は新型コロナの打撃受けた業種が多い
静岡市葵区と駿河区は、新型コロナによる打撃を受けた業種が比較的多いといいます。
ハローワーク静岡 遠藤徳一さん:「販売・サービスの仕事がほかの地域に比べて多い地域ではある。実際、飲食店とか販売でお客さんが減ったことによって閉鎖された事業所がありますので、そういった意味では静岡市としては、影響を受けた事業所が多かったと思います」
県内では6月以降、有効求人倍率が1倍を下回り、約6年半ぶりの低水準が続いています。ハローワーク静岡管内では、前年よりも求職者が増加する中、有効求人数は3割ほど落ち込んでいて、希望する職業に就くには高いハードルがあります。
ハローワーク静岡 遠藤徳一さん:「今までの職種以外のことも検討していただければ、早期就職が叶うのではないかと思っています」
Aさん、6社目の面接へ…迫られる「現実的選択」
厳しい現実は理解しつつも、ホテルマンとしてもう一度働きたい気持ちを捨てきれないAさん。ホテル勤務の経験を生かそうと、これまでにレストランなど5社の面接を受けましたが、すべて不採用でした。
Aさん:「結局年齢がね、どうしてもネックになってしまうみたい」
この日、ホテルではない業種の会社との面接が新たに決定。6回目の面接は翌日に決まりました。
スーツ姿のAさん。
「おはようございます。緊張はないですね。行ってきます」
1時間ほどして、面接を終えたAさんが戻ってきました。
Aさん:「ちょっと長引いちゃって」
記者:面接はどうでした?
Aさん:「どうにか雇ってもらえることになりました」
記者:おめでとうございます。良かったですね
Aさん:「とりあえず安心した。やっと決まったので」
突然、仕事を失い、余儀なくされた再就職。迫られたのは現実的な選択です。
Aさん:「本当はホテルの仕事に就きたいんですけど、回復するまでというか、家族のために頑張ろうかなと思って決めました」
新型コロナの影響による失業者は全国で7万人以上。そのうちのひとり、元ホテルマンのAさんが別の道へと一歩を踏み出しました。