豊田えいせい病院「クラスター終息」を発表 困難極めた感染経路の追跡調査、行動履歴確認できず…苦悩の1カ月半 静岡・磐田市

林輝彦アナウンサー(豊田えいせい病院 磐田市 3月9日):「磐田市の豊田えいせい病院は、きのう(8日)、クラスターの終息を発表しました。ここに至るまで1カ月半、多くの医療従事者の苦悩がありました」

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こうした動きに、医療現場は…。
有井准教授:「大勢の方に打つためには、なるべく無駄にはしたくないので、なるべく6人分とか7人分で取り出して、丁寧に打ちたいが、7人分は僕らのところでは厳しいかもしれない。一般の方を対象にした時、スムーズに行えるか、トラブルなく行えるか、これから課題として検討したい」
 県内のワクチン接種は医療従事者の間では進みつつありますが、高齢者への接種は来月中に始まるとされているものの、具体的なスケジュールは示されていません。

 回復期・慢性期の医療を担う、磐田市の「豊田えいせい病院」。8日、院内で発生したクラスターの「終息」を宣言しました。豊田えいせい病院がクラスターに認定されたのは、1月25日。その6日前に、職員の感染が最初に判明し、その後、クラスターは患者・職員合わせて37人まで拡大。複数の方が亡くなりました。

豊田えいせい病院 姫野一成病院長:「今回亡くなられた患者もいるので、それに対しての責任も痛感した。何回も何回も、なぜ水際で食い止められなかったのか後悔をしているが、本当に答えが出ない」

認知症で行動履歴の確認が困難

 クラスターへの対応で、困難を究めたのは感染経路の追跡調査でした。こちらの病院は入院患者のほとんどが高齢者。院内で感染が広がった状況でも、患者たちの感染対策への理解が乏しかったり、認知症のため行動履歴の確認をスムーズに進められなかったりしたのです。

豊田えいせい病院 姫野一成病院長:「やはり接触者が誰なのか(わからない)ということ。(患者が自分の症状を伝えられれば)もう少し細かいことまでわかっただろうと思うが、なかなか症状を的確に伝えられないことが本当に、高齢者を扱う病院としては難しいと実感している」

 その後、最初の感染者が1月中旬に入院してきた高齢患者であることを特定しましたが、感染経路の特定に時間を要することになりました。クラスター対応の指揮をとった横須賀医師は、感染症指定病院との設備面の違いや職員の数が限られる民間病院ならではの対応の難しさを感じたといいます。

豊田えいせい病院 横須賀亮光診察部長:「民間病院として、個室対応や感染者対応の部屋がまずないので、そこを作っていくのに一般の病床の部屋を分けていくしかなかった。1患者ごとの看護師も多いわけじゃないので、どうしても看護師が濃厚接触者になって休むことになったり、人的にも物資的にも厳しいことが続いた」

再検査で「陽性」相次ぐ

 さらに、「豊田えいせい病院」で浜松医療センターなどと同様に、陰性確認後の再検査で、陽性が判明するケースが相次いだといいます。クラスターの発生を受けて、病院は外来診療や入院などの病院機能を一時停止。その1カ月半の間、病院の収益は去年の半分ほどまで落ち込んだといいます。今後の診療再開に向けて病院は、より徹底した感染対策の強化を図る方針です。

豊田えいせい病院 横須賀亮光診察部長:「お亡くなりになられた患者もいるので、考えても考えてもやはり答えは出ない。当院としては外来から緊急入院する患者に関しては、一番初めの1週間は個室対応をさせていただいて、経過観察する時間を全例に、(コロナ感染の)背景がなくてもやっていこうと考えている」

    (3月9日放送)