増加する自宅療養者…静岡市は医師が直接電話で診療する独自のサポート事業 自宅療養を支える現場は

 新規感染者の急増とともに、県内で増加した自宅療養者。その数およそ3500人、これまでに自宅療養中の6人の死亡が確認されています。

画像1: 増加する自宅療養者…静岡市は医師が直接電話で診療する独自のサポート事業 自宅療養を支える現場は

自宅療養者の母:「1日も長いし、一緒にいられるので、(自宅療養で)家にいた方がよかったと思う」

 こう話すのは、静岡市に住む、子どもが自宅療養となった母親です。先月20日に中学生の次男の陽性が判明しました。熱などの症状が出たとき、かかりつけ医に診療を求めましたが、断られたといいます。

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自宅療養者の母親:「(かかりつけ医に)『うちではコロナ見られないし、お母さんも出歩いちゃだめだよ』と言われて、保健所に電話をして、『かかりつけの医者があるならそちらで診てもらってください』と言われたので、(かかりつけ医に)伝えたら、『それでもちょっと無理』だという話で、ショックはショックだった」

 改めて保健所に相談したところ、別の病院を紹介され、軽症だったため自宅療養となりました。その後、ワクチンを2回接種していた大学生の長男も感染し、無症状のため自宅で療養することに。

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自宅療養者の母親:「(先生に)『毎日電話をかけるよ』と言われて、自宅療養しているので周りにうつす心配はなかったし、もし急変したとしても24時間医者が『電話してきていいよ』と。『不安だったらしてきていいよ』と言ってくれたので、不安なことはなかった」

 入院すると息子の様子を直接確認できなくなってしまうため、母親としては子どもの体調を確認できることも自宅療養のメリットだったといいます。

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 2人とも先週までに自宅療養期間を終えていて、無症状だった長男は、感染したことでワクチンの効果を実感したと振り返ります。

自宅療養者(長男):「実際に(未接種の)弟が発熱しているのを目の当たりにして、やっぱりワクチン打っておいてよかったな、というのは一番強く実感した点だし、周りにも無症状の人間って、自分が気づいていないだけで、たくさんいるのかなというのは感じた」

電話で患者を診察する医師は

 こうした中、静岡市は急増する自宅療養者に対して、医師が電話で患者の容体を確認する、静岡市独自のサポート事業を拡充する方針を示しました。自宅療養者の心理的負担や、保健所への負担軽減を図るとしています。

画像1: 電話で患者を診察する医師は

 急増する自宅療養者を支える医療現場では―

◆電話診療の様子
患者「頭が少し痛い、せきもたまに出る」
医師「熱は落ち着いてきましたね…」

 静岡厚生病院で小児科を担当する田中敏博医師。去年10月から新型コロナ患者を電話で診療しています。

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静岡厚生病院 田中敏博医師:「(電話で)例えば息遣いが荒いとか、せきこんでいるとか、そういった聞こえてくる情報全てが大事な診療の参考情報になるので、限界はあるけれども、診察室に来てもらうのと遜色ないとまでは言い過ぎかもしれないが、ある程度のレベルで、大事な情報が得られていると思う」

 現在、田中医師が診療をしている自宅療養者は12人。1日1回、健康観察を行うとともに患者の声の様子から症状や容体の変化をチェックし、必要な場合には複数回電話することもあるそうです。

◆電話診療の様子
医師:「何か気になるところはありますか」
患者:「大丈夫です」
医師:「もう少しですから…」

 こうして自宅療養を支える田中医師ですが、静岡市で爆発的な感染が続く中、自宅療養者への対応が後手に回っている可能性を指摘します。

静岡厚生病院 田中医師:「8月のお盆のちょっと前あたり、3連休明けたあたりで保健所が業務過多になったのではないかと思うが、『こういう患者がいるのでよろしく』というような連絡がなかなか届かなくなってしまったので、不安のまま自宅で時間だけを過ごしているケースもあると思うので…」

 先月上旬は最大で64人を診療していたといいますが、その後は自宅療養者が増えているにも関わらず、担当する患者の数は減っているというのです。

 新規感染者の急増にともなう医療体制のひっ迫を背景に、増加する自宅療養者。田中医師は感染した人の心理的負担にも懸念があるようです。

静岡厚生病院 田中医師:「自宅療養ということが、言葉を変えると放置されているように感じてしまう患者も少なくないかなと思うが、気持ちの面で体調を崩しているというケースは少なからずあるので、まさしく『病は気から』の状態を作らないようにアシストしていきたい」

   (9月6日放送)