毎日のように搬送される新型コロナ患者…医療現場は日々綱渡り状態の病床確保 静岡・磐田市
「県内で医療病床がひっ迫する今、こちらの病院でも入院が必要な新型コロナ患者の対応に追われています」
感染症指定医療機関の一つで、新型コロナ患者を受け入れている静岡県磐田市の磐田市立総合病院。病院のある県西部では、病床使用率がおよそ7割と危機的な状況が続いています。磐田市立総合病院でも病床が空けばすぐに別の患者を受け入れる毎日です。
毎日のように搬送される新型コロナ患者
こちらは、新型コロナ患者などを担当する病棟のナースステーション。感染防止のため出入りする看護師は、必要最低限の人数に絞っているといいます。日々、慌ただしく動く現場。きのうの取材中にも…。
「10分ほど前にコロナ陽性者の方が運ばれてくると連絡があり、救急車が到着しました。これから検査や診療を受けて、入院するかどうかが決められます」
毎日のように病院に運ばれてくる新型コロナ患者。救急搬送のほか、自家用車で病院を訪れる患者もいます。
医師の診断によって入院するか、ホテルもしくは自宅療養に分けられますが、重症化のリスクを見逃さず、判断することが大事だといいます。
この患者はその後、入院したということです。
課題は病床確保 県の要請で16床増
新規感染者が急増する中、課題となっているのが病床の確保です。磐田市立総合病院では県からの要請に応じて、今週、新型コロナ病床を16床増やして39床にしました。そのうち、2床が重症患者用だといいます。
副病院長
「この先、患者さんが来たら受け入れられる病床があるだろうかという、非常に精神的に追い詰められている状況。今週末、うちの病院は一床しか空いていなかった。ここで、もう一人来たらどうしましょうか、というところでヒヤヒヤしながら週明けを迎えた」
まさに、日々綱渡りといった状態の病床確保。こうした病院の取り組みによって、県内の新型コロナ用病床は、8月31日までに40床余り増え、664床となっています。
病床を増やすとコロナ以外の病床は減る 手術を延期することも…
しかし、ベッドは増やせても患者を診る医師や看護師、人工呼吸器といった医療機器は簡単に増やすことはできません。
副病院長
「コロナの病床を増やすということは、それ以外の病床を減らすということ。(コロナ以外の)命に関わらないような手術などは延期してもらったりということが実際に起こっている」
感染者の急増に加えて、病床ひっ迫の要因となっているのがデルタ株による重症化です。これまでは10日ほどで退院するのが一般的でしたが、重症化で長期の入院となるケースが増え、なかなか病床が空かないといいます。
副病院長
「やはり元々この地域で期待されている医療がある、そういった本来の医療を果たしながら今回のコロナもうまく扱っていかなければいけない。それは現場の厳しいところ」
急増する患者に…現場は
こちらは主に重症患者を治療する救命救急病棟。コロナ以外の病気の重症患者もいるため、仕切りを使って病棟内をエリア分けしています。患者と直接向き合っている看護師も、現在の感染状況に危機感を感じています。
副看護師長A
「急激に患者さんの数が増えてきていて、やはり部屋の方の調整も難しい状態」
コロナ患者を担当する看護師はその日に必要な最小限の人数に絞り、感染対策として一緒に働くグループを分けているそうです。
コロナ病棟に入る前には使い捨ての医療用ガウンやマスク、手袋などを着用。長時間の滞在は好ましくないとされる一方、出入りする回数を最小限に抑える必要もあり、長い時には3時間ほど、部屋に入ったままになることもあるそうです。
これまで以上に看護師同士での接触を減らすため、少し前からナースステーションへと戻らずに作業できるスペースを病室の前に設けました。いわば、出先の簡易ナースステーションです。
副看護師長B
「モニターが見られるので、モニタリングしながら入力をします。中に看護師がいるときはこの格好でいるけど、中に看護師がいない状況の時にはここにいる人はいつでも入れるように、フル装備でアラームが鳴ったらすぐ入れるように待機しながら記録する。ここの場合は2部屋あるから2画面になる」
Q.こちらの方はいくつぐらい?
A.「どっちも若いですよ。みんな今若年化しているので、30~60代」
この日も1人の患者に2人の看護師で対応。患者を診る看護師を、モニター越しに別の看護師が見守りながらの作業が続きます。カメラは患者の容体を確認するため、本人や家族の同意を得て設置。ここではもちろん、通常のナースステーションでも24時間体制で患者を見守ります。
感染の急拡大とともに、負担が急増している県内の医療現場。その最前線で活躍する看護師が、今抱えている思いとは…。
副看護師長B
「一般の方にすごく応援のメッセージを頂いたり、ありがたい温かい言葉を頂いたりしながら、自分たちはいま仕事をしているので、大変な部分はあるけど、そういって励ましてくれる方もいて、すごく力になっている、感謝の気持ちを伝えたい。引き続き、お互い大切な人を守れるように行動には気を付けていけたらいいな、と自分も含めて思う」
(9月1日放送)