同意取れないお年寄りも多く 「利用者のほとんどが認知症状…」という施設も 静岡県内でも高齢者のワクチン接種始まる
感染対策の切り札とされるワクチンをめぐって、15日、静岡県内でも動きが。
浜松市の西山病院で高齢の入所者17人に、県内初の一般向けのワクチン接種が行われました。当初、病院は職員らを優先して、入所者への接種は19日以降としていましたが、妊娠などを理由に接種を希望しない職員が出たため、ワクチンを無駄にしないため、接種を早めることにしたということです。
静岡市の病院では3分の1の同意とれず
県内でもようやく始まった一般向けのワクチン接種。しかし、高齢者施設の入所者への接種をめぐる課題も見えてきました。
静岡市会見(13日)
「ご本人の同意が取れない方についても、施設側で感染のリスクを考えて接種対象と判断したということです」
静岡市で初めて高齢者向けワクチン接種を行う病院で、本人の同意が得られていないにも関わらず、接種を受けると判断していたというのです。新型コロナのワクチン接種は、原則として本人の同意が必要となります。
病院では当初、高齢の入所者153人が接種予定と発表されていましたが、施設が確認したところ、実際に同意を得られたのは107人でした。3分の1の高齢者がワクチン接種に同意しなかったことになります。
特別養護老人ホーム「利用者のほとんどが認知症状…」
しかし、そもそも本人の同意を取ることが難しいという一面も…。
静岡市内の特別養護老人ホームでも、100人にのぼる入所者全員の同意にはハードルを感じています。
特別養護老人ホーム 施設長:「ご本人様がコロナウイルスワクチンの接種を受けるということを、完全に理解ができるのは20人ほどだと思う。利用者の方のほとんどが認知症状を持っているので、今回のコロナ予防接種を理解させるか、されないかというところが大きな問題だと思っている」
これまでに同意が得られたのは、入所者の5分の1程度だといいます。家族による同意書への代筆は可能ですが、本人の意思表示ができない場合には接種ができないのです。
施設長:「コロナウイルスというキーワードを、皆様もともと持っていない方々。日常会話の中であまり出てこなかったので、(ワクチンの話を)聞かされても、コロナワクチンの意味が分からないというところは多く感じる」
施設では入所者の家族や医師と連携して、「ワクチン接種の重要性」を理解してもらう働きかけを進めています。
施設長:「説得というのは変な話だが、なるべくご家族に同意形成の場に参加をしていただく。言葉で理解が中々難しい方もいるので、絵や職員のジェスチャーというのも交えて、視覚的にも分かるようなものも取り入れていければと思っている」