まん延防止措置延長で苦境 酒店はコロナ禍前に比べ売り上げ8割減 旅行代理店は3月の予約低調「とにかくGWの準備進める」 静岡市
まん延防止措置が延長となり、時短営業を迫られている飲食店。それに伴い、飲食店の関連業者も多大な影響を受けています。
酒店 2月の売り上げ82%減
亀屋村越 大久保忍社長:「雇用調整助成金をいただいて、それで会社を持たせている。それでも1カ月は何百万って赤字になっちゃうんですけどね、今はそれしかないような状態です」
静岡市駿河区の酒屋、亀屋村越。多い時は1日に、県内の飲食店およそ450店舗に酒を卸しますが、この日配送するのは53店舗。10分の1程度です。
亀屋村越 大久保忍社長:「きょうの午後の荷物なんですけど、5件くらい。通常なら70~80件あるんですけど、きょうは5件。注文がない状態で、配送も10人いるけど、5人出て、朝1人帰らせて、今回は前と違って休んでいるお店が多くて、その分仕事も少ない」
今回のまん延防止期間で、県内の飲食店に休業要請は出されていませんが、それでも時短営業はせず、休業を選択する飲食店が多いといいます。
今月の売り上げは、コロナ禍以前より82%減りました。本来ならトラック10台で配送しますが、この日は4台のみです。
こちらは、去年の9月30日、第5派のまん延防止措置が解除される前日の様子です。荷台にはカゴやビールの樽が積み上がっています。この日と比べると、今週木曜(24日)は荷台に積まれている酒の量が少なくなっています。
亀屋村越 従業員:「(配送の)エリアが広くなったので、午前中かかるというのはありますけど、今まで3時間かかるところが1時間とかで終わる」
亀屋村越 大久保忍社長:「少ない人数で回していって、休ませてコロナ休暇を取っていただいて、雇用調整助成金をいただいて、会社を持たせている。それでも1カ月は何百万って赤字になっちゃうんですけどね、今はそれしかないような状態です」
期限切れで廃棄する商品も
まん延防止措置が延長されることで、赤字の日々はさらに続きます。また、注文が入らないことで、こんな事態も…
亀屋村越 大久保忍社長:「ここの商品が日切れして、もう使えない商品です。以前はもっとたくさんあって処分をして、最近出た日切れの商品。ここにも、台車にも置いてあるけど、これも日切れ商品でもう使えない。全部捨てるやつです」
今月だけで10万円から15万円分ほどの商品を処分しました。
亀屋村越 大久保忍社長:「切ないですよね、買った商品が。それも会社にしては債になっちゃいますから、メーカーに返せるものは返すけど、ほとんどの商品は返せない状態です」
社員のモチベーションは…
売り上げ以外にも、会社の存続で心配なことが…。それは社員のモチベーションを保つこと。
まん延防止措置が取られてからは、20人の従業員を2班に分けて、1日おきに出社する形を取っています。働きたくても仕事がない状況に、経営者として頭を抱えています。
亀屋村越 大久保忍社長:「うちの会社は大丈夫なのかな、これから勤めて大丈夫なのかな、2年間続くとそれが一番、みんな僕には言わないけど、思っていることだと思います」
去年の冬には、ある大きな決断をしました。
亀屋村越 大久保忍社長:「パートさん3人いて、去年辞めていただいたんですけど。一生懸命に働いていたパートさんを切らなきゃならない、私経営者だから、本当心は痛む感じで辞めていただいたんですけど、今の人数でもこれからできるのか、第7派、8派があったら、本当に人数自体を減らさなきゃならない…そう思っちゃいますね」
観光業界 3月6日に解除されても旅行マインドに影響する恐れ
まん延防止措置の延長が決まり、その影響は観光業界にも―
サンコートラベル 宮川憲代表:「2月に関しては、ほぼ全て(予約が)キャンセルになってしまった状況。ほぼキャンセルになっている」
Q.きょうから延長期間に入るが、その期間中に予約されていた方の予約は?
A.「もうキャンセルになっている。たぶん延長になるだろうという判断でやはりキャンセルになっている」
静岡市葵区にあるこちらの旅行代理店では、今月上旬に延長期間分の予約キャンセルが入っていたそうです。
観光庁によりますと、去年1年間の国内旅行での消費額は9兆1215億円。現在の調査方法となった2010年以来、過去最少となりました。
コロナ禍前の2019年と比べると58.4%の減少で、政府の「GoToトラベル」が実施された2020年と比べても8.5%減少しています。
静岡県へのまん延防止措置が3月6日に解除されたとしても、感染者数が下がり切らなければ、消費者の旅行マインドに影響する恐れがあり、緩やかな減少スピードも懸念材料の一つといえそうです。
春の行楽シーズンは…
来月以降、春の行楽シーズンを迎えますが、今のところ来月の予約は低調です。こちらの代理店では、まん延防止措置の延長を見越して準備を進めてきたといいます。
サンコートラベル 宮川憲代表:「これから春になりゴールデンウィーク、新緑のいい季節になってくるので、それなりの準備はとにかく進めていかなればいけないので、3月中はあまり遠出はできないという想定で県内旅行。4月からゴールデンウィークにかけては、少し遠めの旅行という形でバスツアーを企画している。病床使用率も落ち着いて、じゃあ県内旅行から始めましょうとか、という雰囲気になってくれば、お客様も『さあ、2年我慢したから行きましょう』という雰囲気になってくると思うので、それを期待している」