期限切れによるワクチンの大量廃棄、静岡県内でも5カ月で〇億円…ワクチンが焼却される廃棄物処理施設を取材

新型コロナをめぐり静岡県は5日、今年6月から10月までの間に26万回分を超えるワクチンを廃棄したと発表しました。廃棄の裏側を取材しました。

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期限切れによるワクチンの大量廃棄、静岡県内でも5カ月で〇億円…ワクチンが焼却される廃棄物処理施設を取材

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「残念ながら廃棄処分という形になる」5カ月で26万3610回分…

白木愛奈アナウンサー:
「新型コロナの感染が広がる一方で、ワクチンの有効期限が切れてしまい廃棄せざるを得ないケースもあるということです。こちらの会場でも有効期限が間近に迫ったワクチンがあるということなんです」

 県の大規模接種会場でもある、静岡市葵区のもくせい会館。

県 新型コロナ対策推進課 佐野充夫 室長:
「こちらが今月末に期限を迎えるワクチンの保管場所になります」

 冷蔵庫に保管されていたのは、有効期限が残り1か月を切っているワクチンです。

Q何回分ぐらいある?

県 新型コロナ対策推進課 佐野充夫 室長:
「ノババックスのワクチンがメインになるが、今こちらに保管しているのは接種回数で言うと490回分ということになる」

Q万が一使い切れなかった場合はワクチンはどうなる?

「これは残念ながら廃棄処分という形になる」

 期限が切れたワクチンは、未開封であっても使用できません。

 こうした期限間近や期限切れによって廃棄されるワクチンが実は今、全国的に増えています。

県 新型コロナ対策推進課 佐野充夫 室長:
「あらかじめ(ワクチンの)接種計画に基づいて接種を予定するが、どうしても接種者数が満たずに廃棄処分に至ってしまうというワクチンはどうしても出てくる」

 県は5日、3・4回目接種用として国から供給されたモデルナ社とノババックス社製のワクチンについて、今年6月から10月までの間で期限切れによって26万3610回分のワクチンを廃棄したと発表しました。

画像: 「残念ながら廃棄処分という形になる」5カ月で26万3610回分…

廃棄の理由とは?

内訳を見ると、数が最も多かったのは浜松市で2つのワクチンを合わせて、およそ9万9000回分。

 他にも、静岡市で、5万1000回分、袋井市では、1万7000回分、磐田市で、1万5000回分と県内の28の市と町で、廃棄されていました。

 期限切れによる、ワクチンの大量廃棄…。

 その理由について県の担当者は…。

県 新型コロナ対策推進課 佐野充夫 室長:
「ワクチンの接種についてはその時の感染の状況によって影響を受けるものであって、確実な接種者数を予測することは難しい状況がある。またワクチン接種に来た方に、ワクチンの不足によって接種ができないということはどうしても避けなければいけない状況もあるので、要望できる最大限の量を国の方に要望してワクチンの供給を受けるということをやっている」

 県はほかにも、廃棄の理由として、今年9月からオミクロン株に対応したワクチン接種が始まり、従来型のワクチンを使う機会が激減したことを挙げました。

 さらに、ノババックス社製については、国から供給された時点で有効期限がおよそ3カ月しか残っていないワクチンもあったということです。

 こちらの会場では、他の市町と連携し、本数が足りないところへ送ることで使い切れるスケジュールを組んでいます。

 それでも、県内には使われないまま期限切れで廃棄されてしまうワクチンは少なくありません。
 
 こうしたワクチンは、どう処分されているのでしょうか?

画像: 廃棄の理由とは?

富士宮市の廃棄物処理施設を取材

こちらは、富士宮市にある廃棄物処理施設。取材したこの日、施設にはプラスチック製の容器が大量に運び込まれていました。

ミダック富士宮事業所 井出博昭所長:
「こちらは医療現場で使用された廃棄物が入っている。血液・注射器・各種医療器具などが入っているかと思われる」

Qこの中に廃棄されるワクチンが入っている可能性がある?

「そうですね。可能性はあるかと思う」

 これらは「感染性廃棄物」と呼ばれるもの。

 感染を防ぐため、ふたを開けることはできませんが、中には、注射器や血が付いたガーゼなどに加え、有効期限切れで廃棄されたワクチンが含まれている可能性があります。

 こちらの施設では県内の医療機関から出た「感染性廃棄物」を処分していて、1日に、およそ5トン=プラスチック製の容器800個から1000個ほどが運ばれてきます。

白木愛奈アナウンサー: 
「さきほどの感染性廃棄物はベルトコンベアで運ばれこちらの焼却炉で燃やされるということなんです」

 850度以上の高温で1時間ほどかけて焼却することで、燃えきった灰は無害化され、埋め立て処分されます。

 そして、廃棄されたワクチンも、同様に処分されています。

画像: 富士宮市の廃棄物処理施設を取材

5カ月で約7億2000万円分が廃棄

そもそもワクチンに係る費用は全て国費、つまり税金です。

 財務省が公表している資料によりますと、今年3月末までに調達したワクチンはおよそ8億8200万回分。

 流通費なども含み、2兆4000億円ほどの予算があてられています。

 単純計算すると、ワクチン1回分は、およそ2721円となります。

 県内では、今年6月~10月だけでおよそ7億2000万円分のワクチンがすでに廃棄されている計算になります。

 こうした状況について県の担当者は…。

県 新型コロナ対策推進課 佐野充夫 室長:
「廃棄になる直前には各市町と十分に連携を取り合いながら、ワクチンの融通調整を行うなどして、できるだけ廃棄を減らしていきたい。これから年末年始にかけて、過去2年間新型コロナの感染が広がっている。こんなことも考えながら希望者の接種勧奨に取り組んでいきたいと思っている。

画像: 5カ月で約7億2000万円分が廃棄