「先が見えない戦い」ベッドが空いてもすぐに… 「少しだけ明るい兆しも」 浜松市 聖隷三方原病院

ディレクター
「聖隷三方原病院のこちらのフロアには、新型コロナの重症患者を受け入れられるベッドが6床ありますが、現在はその全てが埋まっているということです」

画像: 「先が見えない戦い」ベッドが空いてもすぐに… 「少しだけ明るい兆しも」 浜松市 聖隷三方原病院

「先が見えない戦い」

画像: 「先が見えない戦い」

 新型コロナの重点医療機関、浜松市北区の聖隷三方原病院。重症用14床、中等症26床、合わせて40床のコロナ病床を運用しています。静岡県内で感染が急拡大した7月下旬以降、病床が8割埋まることもあり、現在も患者の入退院が激しいといいます。

聖隷三方原病院 荻野和功病院長 「今までならクラスターが収まれば、いま頑張れば楽になれるという見通しが立ったが、一生懸命頑張って退院させると、(ベッドが空いても)すぐ入ってくる。これがずっと続くと、先が見えない戦いでスタッフの疲労度が非常に増す」

 コロナ患者の救急外来が急増し、一般患者の受け入れを制限したこともあったそうです。

病室にいるのは2時間が限度 処置が発生するとどうしても…

画像1: 病室にいるのは2時間が限度 処置が発生するとどうしても…

 こちらは、人工呼吸器が必要になるといった症状が重たい患者を治療する重症病棟。元は倉庫だった場所を改築して、患者6人を受け入れられるようにしたそうです。

 この日は重症患者1人と、中等症でも酸素吸入が必要な患者5人が入院し、すべてのベッドが埋まっていました。

病棟課長
「若い方が増えてきているのも確か。その分自宅で療養して状態が悪くなって来る方が増えているので、来た時には本当にギリギリの状態という方が増えている」

 取材中にも患者からのナースコールが…。

看護師(ナースコール電話)
「どうされました? お水が飲みたい? ちょっとお待ちくださいね、もう少ししたら伺いますんでね」

画像2: 病室にいるのは2時間が限度 処置が発生するとどうしても…

 医師や看護師のいる、ナースステーションがグリーンゾーン。医療用ガウンなどの必要な装備を身に着けるイエローゾーンを通って、患者のいるレッドゾーンに入ります。

病棟課長
「(病室の滞在は)基本的には2時間が限度かなと思っている。重症な患者がいた時には午前中、朝8時半か9時ぐらいに入ると、昼過ぎまで出て来られないこともあったので、そうならないようには気を付けたいとは思っているけど、なかなかやっぱり、処置が発生したり、何かが発生したりすると、もう出られない状況」

 やむを得ず長時間滞在することもあり、感染対策に神経をすり減らす日々だといいます。  患者がいるレッドゾーン隣接しているナースステーションですが、陰圧装置によって病室の空気が漏れることはありません。

デルタ株により重症患者が増加

画像: デルタ株により重症患者が増加

 コロナ対応の最前線で働く看護師も、病床のひっ迫に危機感を募らせています。

病棟課長
「ケアが必要な人だったり、治療が必要な人が増えているので、その分看護師も医師も、そこに時間がとられたり、人手も時間もかかることが以前よりも増えている。みんなが必死にやっていますね」

 感染力が強いデルタ株によって、重症患者が増えているといいます。県全体の重症患者は6日時点で29人。一時期よりも減りましたが、重症病床の使用率は46%といまだ高い水準にあります。

 聖隷三方原病院では14床の重症病床を確保していますが、すべての病床を使用できるわけではありません。

 新規受け入れの患者に加えて、入院中の患者が重症化する恐れもあるため、いつくかの病床は空けておく必要があるからです。 医師と病棟課長が病床を移動させる相談をしていました。
医師「ここ2人入れるんでしたっけ?」
課長「そうですね、2人は入れます」

 一概に重症や中等症といっても、患者の容体は様々です。どの患者をどこの病床に入れるべきか、日々、ベッドの調整に追われています。

看護師「でもベッドが空いてないもんね。」
病棟課長「2番3番空けといて、重症者が来たらそこに入る」

病棟課長
「早く収まってほしいと、みんな言っている、いつ終わるんだろうと、この先の見えない、そこは早く落ち着いてほしいなと思っている」

 いまだ医療体制のひっ迫は続いていますが、直近では県内の新規感染者は減少傾向に。気が抜けない日々が続きますが、現場にとって数少ない明るい材料だといいます。

聖隷三方原病院 荻野和功病院長 「まだ予断は許さないと思うが、陽性者数の数が減って、それから重症者の数とか入院患者数が後から来るのでここ(陽性者)が減ってくるとちょっと頑張れば、先が少し減ってくるかも分かりません。そういう意味では少し明るい兆しはないでもないな、と思う」

     (9月7日放送)