犯罪組織から抜けられない少年…「怖くて逃げられなかった」 専門家「闇バイト断っても危なくない仕組み必要」 静岡

 8日、高級腕時計70本あまりが奪われた東京・銀座で起きた強盗事件。警察は逃走車両周辺にいた男4人を邸宅侵入の疑いで現行犯逮捕しました。4人の年齢は16歳?19歳。捜査関係者によると「お互いのことは知らない」と供述しているといいます。警察はいわゆる“闇バイト”に応募した可能性もあると見て捜査しています。

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専門家も『闇バイト』に警鐘…「断っても危なくないようにしないと」

 可能性の1つとして浮上しているこの「闇バイト」。専門家は警鐘を鳴らしています。

画像: 専門家も『闇バイト』に警鐘…「断っても危なくないようにしないと」

静岡県立大学 津富宏教授(犯罪学):「ネットでバイトを探すということ自体がすごく一般化してきていて、どこからが闇バイトだという線引きもはっきりしていないんだと思う、本人からしてみると。若い人の貧困率の高さが、こういうことが起きてくる背景にある。こういう闇バイトもお金が無いから闇バイトに応募するので、お金がない人がターゲット化されているというのがかつてとの大きな違い。(加担した)自分に若干の負い目があると、なかなか警察に行けなかったりする、あるいは思いつかなかったりする。そういう状況になっているので、断っても全然危なくないとか、一種の被害者保護の仕組みをつくらないと。断れない状況は簡単には変わらないと思う」

加害少年「やめたあと何かされるか恐怖だった」

 実際に県内で特殊詐欺の“加害者”となった少年も「断れなかった」と語っています。

静岡県内の少年院在院 特殊詐欺に加担した少年A:「6割は断れなかったのと、4割はお金の欲しさでやってしまいました」

静岡県内の少年院在院 特殊詐欺に加担した少年B:「『今やめたら先輩も怒ると思うから、どうなるかわからない』と言われ、少し脅しの感じもあった。そう言われたら、僕も少し怖くなってしまい、やめられなかった。やめた後、何かされるのではないかという恐怖があった」

画像1: 加害少年「やめたあと何かされるか恐怖だった」

静岡県内の少年院在院 特殊詐欺に加担した少年C:「最初に警察や家族に言うと脅しがあったので、怖くて逃げられなかった」

画像2: 加害少年「やめたあと何かされるか恐怖だった」

 特殊詐欺をめぐっては、“少年による犯罪”に限らず、ここ数カ月の間にも県内で被害が相次いでいます。10日、警察に逮捕されたのは35歳の男。男は3月、静岡市駿河区の82歳の男性に息子を名乗って電話をかけ、「株でもうけた。税金を払わないと逮捕される」「法律事務所の人が代わりに取りに行く」などと嘘を言って、法律事務所職員を装い男性宅を訪問。現金120万円を騙しとった疑いです。

 8日には焼津市の60代の男性が市役所や金融機関の職員などを名乗る男から「保険料の戻しがある」「近くのコンビニのATMを操作すればお金が戻る」などと電話を受け、現金130万円を騙し取られる被害がありました。

「取り戻すのは非常に難しい」

 後を経たない特殊詐欺などの犯罪。犯罪学が専門の静岡県立大の津富教授は“金の流れ”についても指摘しています。

静岡県立大学 津富宏教授(犯罪学):「お金自体が海外に流れたりとか、簡単に後をたどれない形でマネーロンダリングされたりしていると思うので、やはり元々の背後で動いている人は、そういうことのプロなので、現物じゃない形で動いていってしまうので、(取り戻すのは)非常に難しいと思う。結局元締めになっている方は犯罪経験が多い方だと思うので、全員が暴力団という訳ではなく、他にも十分に犯罪の経験を積んでいる方がいると思うが、そういう人の懐に流れていると思う」