「漁協内で窃盗が常態化」検察が指摘 冷凍カツオの組織的な窃盗事件の裁判始まる…4人は認め、1人は否認 静岡地裁
静岡県の焼津漁港で水揚げされた冷凍カツオの組織的な窃盗事件で、焼津漁協元職員の男ら5人の裁判が静岡地裁で始まりました。
起訴状などによりますと、水産加工会社元役員(48)と元焼津漁協職員(40)ら5人は、去年2月、焼津漁港で冷凍カツオおよそ4・5トンを盗んだ罪などに問われています。
本来、水揚げされたカツオは競りにかけられたあと計量所で重さを計り、一時的に保管される冷凍庫に運ばれ、その後、流通します。しかし、水産加工会社元役員(48)らは、競り落としたカツオを計量する際、一部を抜き取り計量所を通さずに冷凍庫に運んでいたということです。
20日、静岡地裁で開かれた初公判で、水産加工会社元役員ら4人は起訴内容を認めた一方、水産加工会社の元社長(61)は、「他の被告と共謀し、窃盗の実行をした事実はありません」と否認しました。
冒頭陳述で検察側は「元焼津漁協職員は、市場の担当に異動した際、以前から窃盗が行われていることを知っていた」と、漁協内で窃盗が常態化していたと指摘しました。その上で「元焼津漁協職員が水産加工会社元役員と、盗むための具体的な方法や報酬などを決めた」としました。
また別の漁協職員が「水産加工会社の元社長から犯行に加わるよう誘われた」と供述していたことも明らかにしました。
この事件とは別に、盗まれたカツオが鹿児島に横流しされていたとみられる、いわゆる鹿児島ルートも明らかになっていて、窃盗の疑いで6人が逮捕されています。
検察は20日、水産加工会社社長(57)と神奈川の運送会社元社長(48)ら3人を起訴しました。