【袴田事件】「9月再審開始」はならなかったものの 弁護団「大いに前進」…そのワケは 静岡

弁護団事務局長 小川秀世弁護士(19日):「迅速に審理が進む可能性がある。大いに前進だと思う」
 静岡地裁で19日に開かれた、いわゆる袴田事件の再審=裁判のやり直しに向けた4回目の三者協議。袴田弁護団の小川事務局長が「大いに前進」と話したワケとは!?

画像1: 【袴田事件】「9月再審開始」はならなかったものの 弁護団「大いに前進」…そのワケは 静岡
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 1966年、旧清水市でみそ会社専務一家4人が殺害され、当時30歳の袴田巌さんが逮捕されました。袴田さんは一度は死刑が確定したものの、2014年、静岡地裁が裁判のやり直しを決め、袴田さんは48年ぶりに釈放されました。

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 地裁の決定は2018年、東京高裁に取り消されましたが、その2年後、最高裁が審理の差し戻しを決定。今年3月、再審の開始が正式に決まりました。

検察は「有罪立証」の方針

 再審開始の決定後、静岡地裁では裁判所・検察・弁護団の三者協議が開かれ、裁判の進め方やスケジュールを話し合ってきました。注目を集めたのは、検察が有罪の立証をするかしないか。期限となった7月10日、検察は「5点の衣類は犯行着衣であり、袴田巌さんが犯行時に着用していたものである。血痕に赤みが残ることは何ら不自然ではない」として、袴田さんの有罪を立証する方針を示しました。

画像: 検察は「有罪立証」の方針

 その翌日の11日付で、静岡地検のトップに就任した山田英夫検事正は、検察が袴田さんの有罪を立証する方針を示したことで、弁護団から批判の声が上がっていることについて、「検察は再審開始決定の内容や理由に縛られるものではなく、法と証拠に基づいて立証していくのが当然」と話しました。

懸念されるのは「再審の長期化」

 検察が有罪立証をすることで懸念されるのは再審の長期化です。弁護団は18日、9月以降に予定されている三者協議の期日を再審公判に当てるよう静岡地裁に申し入れましたが、19日の協議で裁判所から「警備上の問題などで9月の公判開始はできない」という話があったといいます。

 一方で検察からは再審公判に向けて245点の証拠が請求される方針が示され、そのうち16点が“新証拠”だといいます。裁判所からは検察と弁護団に対して、8月末までに意見をまとめるよう指示があったといいます。

弁護団事務局長は…

画像: 弁護団事務局長は…

弁護団事務局長 小川秀世弁護士(19日):「我々としては打ち合わせ(三者協議)で行っている議論を、ぜひ皆さんの前で行いたいというのが、法廷でやってほしいということの目的だった。裁判所としては、審理は迅速に進めたいという気持ちを一応示したというところで、(公判期日を示せないのは)やむを得ないのかなと思う」

ひで子さん「再審開始に向かって進んでいる」

画像: ひで子さん「再審開始に向かって進んでいる」

 巌さんの姉、ひで子さんは…。 袴田巌さんの姉 ひで子さん:「きょうはやっぱり再審開始に向かって進んでいるなと思った。今までそんなこと思わなかったが、きょうは検事も一生懸命話した」

 弁護側が求めていた「9月に再審開始」ということは叶いませんでしたが、ひで子さんにとっても収穫のあった協議となったようです。
次回の三者協議は9月12日に予定されています。