「生活保護費の引き下げは違法」静岡地裁が取り消し命じる判決 被告の掛川市「控訴の方針」 静岡市「国と協議し対応」

 生活保護費の引き下げは憲法に違反しているとして、静岡県の受給者らが自治体を訴えた裁判で、静岡地裁は30日、引き下げの取り消しを命じる判決を言い渡しました。

画像: 「生活保護費の引き下げは違法」静岡地裁が取り消し命じる判決 被告の掛川市「控訴の方針」 静岡市「国と協議し対応」

 訴状などによりますと、生活保護を受給している県内の50代から70代までの男女6人は、生活保護の基準額が引き下げられたことは、生活保護法に違反しているとして、静岡市と浜松市、掛川市、袋井市に引き下げの取り消しを求めていました。

 30日の判決で静岡地裁の菊池絵里裁判長は、国が引き下げの根拠とした基準の1つについて、「統計などの客観的数値などとの合理的関連性が欠けていて、専門的知見との整合性はない」と指摘。

 そのうえで、「厚生労働大臣の判断には裁量の逸脱または乱用があり違法だ」として、自治体側に引き下げを取り消す判決を言い渡しました。

原告 山本定男さん:「闘ってきて本当に良かったと心から感じている」

 同様の訴訟で取り消しを命じる地裁の判決は、11例目です。

大橋昭夫弁護士:「自分が今度生活が出来なくなった場合、どうするのかというようなことも含めて、大きい視点で捉えていきたい」

 判決を受け、掛川市は控訴する方針を示しています。また静岡市は「生活保護業務は法定受託事務のため、委託者である国と協議して対応を検討してまいります」とコメントしています。