【旧統一教会問題】弁護士「実態の掘り起こしを」…消費者庁の対策検討会に期待 増える献金トラブル 静岡

 安倍元総理の銃撃事件から間もなく2カ月。事件をきっかけにクローズアップされたのが旧統一教会をめぐる問題です。

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静岡の弁護士「時間の経過とともに被害が出現してくるのでは」

旧統一教会問題に詳しい 藤森克美弁護士:「(事件後の)相談として、親が多宝塔(たほうとう)とか壺とか、そういうものを買わされていて、親がまだつながりを絶てない。潜在的には私の経験から言うと、たくさん県内に被害があると思うんです。時間の経過とともに出現してくるんじゃないかと思っています」

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 静岡県内で旧統一教会による被害救済に取り組んできた藤森克美弁護士。
社会の関心が高まっている今でも、被害を申し出るケースは氷山の一角と話します。

旧統一教会問題に詳しい 藤森克美弁護士:「たぶん統一協会の管理がうまいと思うんですよね。被害者というか、お金を巻き上げられる対象者の心の管理がうまいものだから、なかなか顕在化してこないと考えています」

消費者庁の対策検討会も初会合

 いわゆる霊感商法への対策を検討する消費者庁の対策検討会は、29日初めての会合を行いました。

河野太郎消費者担当大臣:「霊感商法というのは、物品の販売ということだが、寄付の問題も指摘されてきているので、その場合には消費者庁で対応するというよりは、政府に対して提言することになると思うが、境界を定めずに自由に議論をいただきたい」

 委員として参加したのは、旧統一教会の被害者救済に長年取り組んできた紀藤正樹弁護士ら8人。議題にあがったのは、消費者庁のこれまでの対応についてです。霊感商法に関する相談は、毎年1200件から1500件ほど。窓口となってきたのは、国民生活センターや消費生活センターといった公的機関です。

画像: 消費者庁の対策検討会も初会合

紀藤正樹弁護士:「窓口自体がカルト側から見ると「サタン・悪魔側の窓口」と言われれることが多い。中立的な相談窓口としてのあり方がないと、結局、相談してくれないじゃないか。例えば『いのちの電話』は結構重要。なぜかというと宗教に関わらない一般的なことをやっているので、逆に相談しやすい」

安倍元総理の銃撃事件以降相談が急増

 被害者からの相談を受け付けている全国霊感商法対策弁護士連絡会によると、以前は月に20件ほどだった相談は安倍元総理の銃撃事件を境に急増。事件後のおよそ1カ月半で300件近く寄せられ、そのうちの3分の1は旧統一教会に関連した相談だったといいます。

画像: 安倍元総理の銃撃事件以降相談が急増

献金トラブルの増加

 対策検討会のテーマは霊感商法だけではありません。今、増えているのが献金に関するトラブルです。

27日に開かれた相談会でも…。

母親が信者の男性:「僕自身が元統一教会2世だが、母親がまだ旧統一教会内にいて持続化給付金10万円のいくらかを献金したいと。一緒に住んでいる祖母に対して『献金しよう』と強く迫ったそうなんですね」

 献金トラブルについても、今後検討会で議論していく方針です。

立正大学 西田公昭教授:「自分の自由意思で払ったんだからいいじゃないかと一般的に考えられそうだけど、家族が迷惑する場合が非常に多い。誰を被害者と捉えていくのか」

紀藤正樹弁護士:「省庁の枠組みを超えた総理直結の特命担当大臣を置いてもらって、問題全体を解決してほしい」

旧統一教会「いわゆる霊感商法なるものを過去も現在も行ったことはありません」

 一方、旧統一教会=世界平和統一家庭連合の田中富広会長は、教団による霊感商法について…。

画像: 旧統一教会「いわゆる霊感商法なるものを過去も現在も行ったことはありません」

旧統一教会 世界平和統一家庭連合 田中富広会長(10日):「一部メディアでは30年以上前にレッテルを貼った『霊感商法』なるものが『今も変わらず行われている』と発信し続けています。しかしながら、いわゆる霊感商法なるものを過去においても、現在も当法人が行ったことはありませんし、信徒らに対しては、特に2009年以降、当法人は、社会的、法的に問題と指摘される行為をしないよう、コンプライアンスの徹底に努めております。『霊感商法』と称される類のものは、当法人の信徒において行われていませんし、被害報告もありません。2014年以降に当法人は消費者センターから、当法人に関する何らかの相談があった場合には、連絡をもらうようにしていましたが、記録にあるこの年以降においては、消費者センターから相談を受けたとの連絡は1件もございません」

 今後、検討会における議論に期待することを藤森弁護士に聞くと…。

旧統一教会問題に詳しい 藤森克美弁護士:「被害予防だとか被害対策につながるような実態の掘り起こしということはやってもらいたいと思いますね。解決の方向性は献金であっても考え方は一緒ですからね。統一教会に万物復帰という教えがあって、全てのものは神のものであって、現在はサタンの側に財産とかお金がいっていて、それを神の側に引き上げるのは正しいことだという教えに基づいてやっているわけですよ。献金だから、宗教だから踏み込んじゃいけないということではないと僕は理解しているんです。だから、そこにも踏み込んで、献金被害の方が余程金額は大きいですからね。そっち側にも立ち入って救済につながるようなことをしてもらいたいと思います」