特殊詐欺の被害去年1年間で9億円 県民を守る最後のとりでは金融機関のお手柄職員
市の職員をかたる詐欺電話の音声:
「もしもし。●●市役所年金課のカミヤと申します。●●さんのご自宅でお間違いなかったでしょうか?本日はですね、こちらからお送りさせていただいた『累積保険の払い戻し申請書』についてご連絡をさせていただきました」
これはおととし7月、県西部に住む50代の女性の家にかかってきた実際の詐欺電話。
市の職員や年金事務所の職員などを装い、「還付金を返金する」という名目で、言葉巧みにATMへお金を振り込ませる、「還付金詐欺」と呼ばれる手口です。
去年1年間、県内で起きた特殊詐欺の被害は417件。
その被害額は9億429万円に上り、前の年に比べて、1億4000万円余り増えています。
こうした中、被害を防ぐ“最後の砦”となっているのが金融機関です。
富士信用金庫 田子浦支店:
「もしもし、富士信用金庫 関でございます」
富士信用金庫の職員、関夕津子さん。
去年、特殊詐欺を立て続けに防ぎ、県警から2カ月連続で感謝状を贈られました。
富士信用金庫 田子浦支店 関 夕津子さん:
「お客様が窓口に来て『息子からお金を用意してほしいと頼まれた』と聞いて、ちょっと話を聞いていく中で、怪しい点がいくつかあって上席に相談したところ詐欺被害だった」
最初のケースは、いわゆる「オレオレ詐欺」。
窓口に来た高齢の利用客は息子に確認の電話などをしておらず、不審に思った関さんが、上司に報告し、発覚しました。
さらに次のケースでは…。
富士信用金庫 田子浦支店 関 夕津子さん:
「2回目もお客様が振込で来店して、“海外へ送金したい”という点で、振込先も知らない人ということだったので、メールの内容などを見て、内容も文章がたどたどしかったのでその点が怪しいと思った」
SNSで出会った外国人女性を名乗る相手と親しく連絡を取り合っていた高齢の男性。
女性が来日するため、航空機代などを振り込みたいと話したそうです。
いわゆる「国際ロマンス詐欺」の被害寸前で、違和感を見抜いた関さんのお手柄でした。
富士信用金庫 田子浦支店 関 夕津子さん:
「お客様が言っていることを一つ一つ聞くこと。あとは(お客は)焦っていると思うので、こちらが落ち着いて対応すること。職員ひとりひとりの意識を高めることをこれからも意識していきたい」
清水区の金融機関では警察官が協力した訓練を
詐欺被害を防ごうと、12日静岡市清水区の金融機関では…。
各務実来記者:
「現在こちらの窓口では警察官が多額の現金を引き落とす客と想定し、訓練が行われている」
警察官が詐欺被害にあって現金300万円を降ろしに来た高齢者を演じ、職員が対応する訓練が行われました。
清水警察署 生活安全課 飛田貴光警部補:
「詐欺に引っかかっている人はまさか自分が詐欺に引っかかっているとは思っていないので、具体的な質問をしたり、どうしてお金を降ろしたいのかという話をしてもらえると警察としてはありがたい」