「姉妹としての成長見たかった」 バス置き去り死亡事件 娘失った父の思い 静岡・牧之原市

 静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で3歳の女の子が送迎バスに置き去りにされ、死亡した事件。亡くなった女の子の父親が思いを語り始めました。

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「姉妹としての成長見たかった」 バス置き去り死亡事件 娘失った父の思い 静岡・牧之原市

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「嬉しそうな千奈の表情がすごく印象的に残っている」

画像: 「嬉しそうな千奈の表情がすごく印象的に残っている」

河本千奈ちゃんの父親:「毎日、今思えば大切な日々だったなと思うこともありますし、入園のときや家族の誕生日のとき、もちろん千奈の誕生日のときとかにケーキを購入してお祝いするんですけど、そのときの本当に楽しそうに嬉しそうにしてくれる千奈の表情が今でもすごく印象的に残っています」

事件から7カ月…遺族としての思いを発信

画像1: 事件から7カ月…遺族としての思いを発信

 去年9月に牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で起きたバス置き去り事件。

 河本千奈ちゃん、3歳が重度の熱中症で死亡しました。

 事件から7カ月あまりが経過し、千奈ちゃんの父親が事件について語りはじめています。

「はじめまして、河本千奈の父です」「事件で娘を亡くしました」

画像2: 事件から7カ月…遺族としての思いを発信

 千奈ちゃんの父親は3月、ツイッターを始めました。事件に関する情報や遺族としての思いを発信しています。

河本千奈ちゃんの父親:「多くの方が、もう7カ月以上経っていますから。忘れているような事件かもしれません。ですが、園は今まで通り再園し、千奈が亡くなっただけなんです。それが許せなくて、知ってほしい。発信していきたいなと思ったのがきっかけです」

園と元園長への憤り

 ツイッターで繰り返し訴えるのは事件当日、バスを運転していた増田立義元園長や園に対する憤りです。

 事件の翌日、遺族は自宅に園の関係者を集めました。

河本千奈ちゃんの父親:「私たちが『廃園を希望する」と。それに対し『何か意見はありますか』と確認したときに誰も反対するような意見は言いませんでした。『何か一つ念書を書いてほしい』と。しかし、強制ではなく書きたくなかったら何も書かず帰ってくれて構わないというようなこともしっかりと伝えました」

 すると9人のうち8人は「職員をやめる」「廃園を希望する」と書いたそうです。ただ…

河本千奈ちゃんの父親:「前園長の増田立義だけは『暑かったろうな』『苦しかったろうな。ごめんね千奈ちゃん』という幼稚な文を残しました。それを見て『本当に謝罪する気があるのか』『こんな幼稚な文を残して納得できない。ふざけるな』ということを言ったら、向こうが怒るような態度で『わかりましたよ。他の人たちみたいに私も書きますよ』というようなことを言って『廃園にいたします』と書きました」

画像: 園と元園長への憤り

 しかし、翌日行われた保護者説明会では「廃園」の方針は示されず、園も事件から1カ月後に再開しました。

 元園長や元担任ら4人は去年12月、業務上過失致死の疑いで書類送検されました。

「普通どおり成長してくれるだけで幸せだと感じた」

画像1: 「普通どおり成長してくれるだけで幸せだと感じた」

河本千奈ちゃんの父親:「一生、千奈が亡くなったことで傷が癒えることはないですし、どんな判決とかどんな賠償とかされても、納得できることは一生ないと思います。千奈が帰ってくることだけが、唯一の家族元通りになる方法ですけども、それは叶わないので」

画像2: 「普通どおり成長してくれるだけで幸せだと感じた」

河本千奈ちゃんの父親:「次女と2人で姉妹として成長する姿が見たかったです。特別に何かしたいとか、そういうのはいらないので。本当に普通どおりになるように成長してくれるだけでありがたいというか、幸せなんだなということを感じました」

 千奈ちゃんと過ごした何気ない日常はもう戻ってきません。

河本千奈ちゃんの父親:「お風呂から出て、千奈の体を乾かして歯を磨いて。そうしている状況の中で、たまに千奈が『パパ大好き』と言って、手を広げて私のところに抱きしめてくれるというか。私も同じように抱きしめて、そういうようなやり取りが。たまに思い出したときに感情的になってしまいます」

「安全装置義務化しても意識の低い職員たちが、同じようなことを」

 川崎幼稚園の事件を受け、今年4月からバスの置き去りを防止する安全装置の設置などが義務づけられました。それでも、父親には複雑な思いが残ります。

画像: 「安全装置義務化しても意識の低い職員たちが、同じようなことを」

河本千奈ちゃんの父親:「安全装置義務化で良くはなりますけど、意識の低い職員たちに装置を提供しても同じようなことが起こりうるのではないかと感じますし、無くてもしっかりと行えていた他の園もあるわけですし、娘が亡くなって、それ以後は安全装置がついて安心ですと言われても納得できないですし、千奈が生まれてきたのは行政を動かすために、安全装置設置のために生まれてきたわけではないので、納得がいきません」