袴田事件で東京高裁が裁判のやり直しを認める決定 みそ漬けの実験報告書を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」

旧清水市で一家4人が殺害されたいわゆる袴田事件で、東京高裁は再審=裁判のやり直しを認める決定を出しました。

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袴田事件で東京高裁が裁判のやり直しを認める決定 みそ漬けの実験報告書を「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」

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 東京高裁は13日午後2時、袴田巌さんの再審を認める決定を出しました。

 争点となっていたのは事件から1年2カ月後に工場のみそタンクから見つかった血痕つきの5点の衣類です。

 当時の捜査資料には血の色について「濃い赤色」と記されていますが、弁護側は「みそに漬かった状態で1年経てば赤みは消え、黒っぽくなる」と主張した一方、検察側は「血痕には赤みが残る可能性がある」と指摘しました。

 高裁は13日の決定で「1年以上みそ漬けされた衣類の血痕の赤みが消えることは合理的に推測できる」と判断。

 袴田さんが衣類をタンクに入れることは「事実上不可能」とした上で、袴田さん以外の第三者が入れた可能性を否定できず、袴田さんを犯人とする判決に重大な影響を及ぼすとしました。

 さらに「第三者がタンク内に隠匿してみそ漬けした可能性が否定できず、捜査機関の者による可能性が極めて高いと思われる」と付け加えました。

 そして、みそ漬けの実験報告書などを「無罪を言い渡すべき明らかな証拠」とし、静岡地裁の判断に「誤りはない」としました。

 また、5点の衣類以外の証拠も「袴田さんの犯人性を推認させる力が限定的または弱い」としました。

 袴田さんに対する死刑や拘置の執行停止については、年齢や心身の状況から「支持できる」としました。

 今回の決定について東京高検は「検察官の主張が認められなかったことは遺憾である。決定の内容を精査し、適切に対処したい」とコメントしています。

 袴田さんの弁護団は決定後、東京高検に対し、特別抗告を断念するよう求めました。