静岡市中心街のビル火災から3カ月 「どうしていっていいかわからない…」 同じビルの居酒屋は存続の危機に
現在も事故調査委員会が調査を継続中
8月13日の午後10時ごろ、静岡市葵区呉服町のビル3階にある飲食店で火災が発生。消火活動に当たっていた駿河消防署の消防士・山本将光さんが死亡しました。
「ホースの確保お願いします。10メーターだよね、もう少し欲しいな」
これは消火活動当時の映像です。午前0時を回ってから撮影されたもので、この時には既に山本さんの行方は分からなくなっていたとみられています。
火災を巡っては10月、市議会の企業消防委員会で消防局が当日の経緯を説明していて、消火にあたった山本さんを含む3人は退出する際、真ん中にいた隊員が山本さんに触れ「退出」と声を掛けましたが、火元付近から離れたあと山本さんがいないことに気が付いたことが分かっています。
また静岡市消防局によりますと、火災現場に突入する際に身につける携帯警報器の音が確認されておらず、山本さんの警報器が正常に機能していなかった可能性も浮上しています。
火災の事故調査委員会は、2023年1月を目途に調査の結果を公表する方針です。
休業を余儀なくされた店舗の再開にも大きな不安が…
梅田航平記者:「火災があったビルの地下にある居酒屋。消火活動による水が流れてきて、今も休業状態が続いている。片づけ作業も進んでいるが、壁には大量のカビがある」
火災の影響は3カ月たった今も色濃く残っていました。ビルの地下1階に店を構えていた「府中かしわで」では消火活動の水が店内に押し寄せたそうです。
府中かしわで
オーナー 市川岩生さん:「(消火後にきたときは)どこもかしこも店中隅から隅まで雨が降っているようなそんな状況。ぽたぽたではなく、カッパ着るかしてないと濡れちゃうような状況。一体いつまで続くんだという。自分もまさかというか、状況を受け入れるのには時間がかかった」
浸水で家電や電気系統は全て故障し、地下ということで十分な換気もできず、店内の至るところにはカビが発生しています。水を吸った床もゆがんでしまい、現状の被害総額は5000万円以上にも上るそうです。
姉妹店舗や新規店舗の応援を得て営業再開に向け準備し、雇用も何とか維持しようとしていますが、営業再開には店を一度解体しなければならないといいます。
府中かしわで
オーナー 市川岩生さん:「本当にここに戻れるかどうかも今心配なところ。ちゃんと全額保険で出るのかというのが、明確になっていない不安は大きい。そろそろ賃料も発生してきてしまいそうな流れにもなっていて、どうしていっていいか分からない」
火災で生じた店存続の危機。今後の方針は12月中にも決めたいということです。