市には500件以上の怒りのメールや電話「なぜ防げなかったのか」 川勝知事「あまりにも初歩的なミス」 静岡・牧之原市 3歳児送迎バス置き去り死事件

 静岡県牧之原市のこども園で、3歳の女の子が5時間にわたり送迎バスに置き去りにされ死亡した事件で、静岡県と牧之原市が園に特別監査に入りました。

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市には500件以上の怒りのメールや電話「なぜ防げなかったのか」 川勝知事「あまりにも初歩的なミス」 静岡・牧之原市 3歳児送迎バス置き去り死事件

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園の前には献花台 「可哀想で可哀想で。もう可哀想で」

伊地健治アナウンサー:「事件のあった牧之原市の認定こども園です。きょうも休園が続いていて、園児のいない園庭はがらんとしていて、静寂に包まれています。
そして、けさから新たに園の前には献花台が設けられました。ご覧のようにすでに多くの飲み物や花が手向けられています。きょうは朝から地元・牧之原市だけでなく、焼津市や島田市など、近隣の自治体から、子を持つ父親や母親が多く献花に訪れています」

画像1: 園の前には献花台 「可哀想で可哀想で。もう可哀想で」

 牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で、送迎バスの中に置き去りにされ、3歳の女の子が熱射病で死亡した事件から4日。9日も朝から花や飲み物を手向けに訪れる人が途絶えることはありませんでした。

島田市 3児の母親(40代):「本当に可哀想だなっていう、なんでこんな…ありえないので。もう本当に時間が戻らないかなって。できれば、またお母さんのもとに、また産まれてきてほしいなって」

焼津市 2人の子どもをもつ夫婦(20代・30代):「一番本当につらいなと思ったのが、水筒の飲み物を飲み干していたというのと、自分で服を脱ぐって。うちの子も同じくらいなんですけど、もし、そんなのしていたと思うと、もう可哀想で可哀想で。もう可哀想ですよね、本当に」

画像2: 園の前には献花台 「可哀想で可哀想で。もう可哀想で」

「なかよくしてくれてありがとう ずっとわすれないよ」

 亡くなった女の子の友達からでしょうか。「なかよくしてくれてありがとう ずっとわすれないよ」というメッセージも…。

画像: 「なかよくしてくれてありがとう ずっとわすれないよ」

 なぜ、幼い命は奪われたのか。園や行政に対する憤りの声も聞かれました。

県内在住 小学生の子をもつ父親(30代):「大人の過ち、なすべくして起きてしまった事故。これの代償を3歳の女の子が…。会見をしていた園長さんを含め、自分があの暑い中、エアコンもかかってないバスの中に半日いてみろよと思いながら手を合わせました」

牧之原市 5カ月の子をもつ母親(30代):「市としても管理が届かなかったのかなって。ちょっと市にも不信感が私にはあって、もう牧之原市に信用がちょっとなくなってしまったので、たぶん今後隣の町に通わせると思いますね」

市には500件以上の怒りの声

 事件を受けて、川崎幼稚園は休園が続いています。

 牧之原市によりますと、川崎幼稚園に通う子どもたち168人のうち、系列の保育園で一時的に受け入れているのは32人。「系列の園には預けたくない」と話す保護者も多いといいます。ほとんどは預け先がない状態の、いわば”自宅待機”となっていて、これまでに28人が転園の意向を示しているということです。

画像: 市には500件以上の怒りの声

 9日午前、牧之原市議会では全員協議会が開かれ、市の対応について報告されました。事件を受け、市内全ての保育所に安全管理の指導態勢や送迎バスを運行する際の子どもの人数確認の徹底などを通知したということです。

牧之原市 杉本基久雄市長:「昨年、福岡県中間市で起きた事故後に出された通達に従って確認作業が行われていれば防げた事故であり、本当に残念でならない。同法人の理事長とは電話で、同法人の事務長とは直接市役所の出向いていただき、今後のことについて、少し話の共有をさせていただいた。事故を起こした中で、このまま、同法人が(運営する)ということが不安を与えるということで、安心して預けられる施設として、市の方に(指定管理を)返納して運営を返したいというようなことが示された」

 牧之原市には事件に関して500件以上の電話やメールが寄せられているといい、大半は「なぜ防げなかったのか」といった内容の怒りの声だということです。

認定こども園に県と市の特別監査

 川崎幼稚園における安全管理の実態は―

林輝彦アナウンサー:「午後1時前です。牧之原市の川崎幼稚園に県と牧之原市の職員10人ほどがこれから特別監査に入ります。職員に対し、バスの安全管理などの聞き取りを中心に行うということです」

画像: 認定こども園に県と市の特別監査

 事件を受けて、9日、県と牧之原市が川崎幼稚園の特別監査に入りました。事件当日の状況や安全管理態勢について、園長や職員への聞き取り調査を通じて、問題点を明らかにする方針です。

 去年、福岡県の保育園で送迎バスに置き去りにされた5歳の男の子が死亡した事件後にも行政による特別監査が行われています。その結果、職員による園児への体罰や暴言などの不適切な指導があったことが判明。県と市が改善勧告を出し、原因の検証と再発防止を求めています。

 川崎幼稚園への特別監査でも調査結果によっては、事業の停止や施設の閉鎖、事業認可の取り消しなどの処分が行われる可能性があります。

川勝知事「驚きました。あまりにも初歩的なミス」

画像: 川勝知事「驚きました。あまりにも初歩的なミス」

Q.(事件について)知事はどのように受け止めていますでしょうか

静岡県 川勝平太知事:「正直驚きました。あまりにも初歩的なミスでありますので、しかも本来ならば怠ってはならないような事柄がなおざりにされたと」

Q.去年の福岡の事故で厚生労働省が出した通知がほとんど守られていなかった。
国の通知をこれだけ軽視されたことについて、今知事はどのようにお考えか

A.「とんでもない話だと思っていますよ。福岡の事案をどう考えていたのかということです。これはもう言語道断のことだと思う」

 8日、川勝知事は送迎バスを所有する県内250余りの保育園や幼稚園などを対象に運用状況を確認する書面での調査と立ち入り指導を行う方針を明らかにしました。

静岡県 川勝平太知事:「今回の事故を重大な事案と捉えております。今後2度と、このような悲惨な事案に接することがないよう、この悲惨な事件、悲惨なことが起こらないように、安全で安心な保育に向けまして、取り組んでいきたいと考えております」