袴田事件再審決定の日・ドキュメント~57年闘い続けたひで子さん「本当にうれしい」
伊地健治アナウンサー
「ちょうど今袴田巌さんの姉ひで子さんが東京高裁に入るところ。皆さん拍手で迎え、笑顔でひで子さんが答えています。袴田さんを支援する多くの団体の人たちが100人以上この歩道に詰めかけているという状況です」
ひで子さんや弁護団が高裁へ入ってからおよそ10分後、その瞬間が訪れました。
伊地健治アナウンサー
「再審開始!再審です!東京高裁は袴田事件の再審開始を認めました! 検察の抗告は棄却されました!再審の扉が再び開きました!」
掲げられた「再審開始」の文字。
逮捕から57年、そして死刑確定から42年あまり。
13日再び裁判のやり直しが決定したのです。
袴田巌さんの姉 ひで子さん:
「皆様ありがとうございます。再審開始になりました。本当にうれしいです。もう57年戦ってきましたからね。ダメでもしょうがないと思っていましたが。これでもうね…」
支援者『ダメじゃこまりますよ』
小川弁護士『終わってないでしょ』
「そんなこと思ってなかったけど(笑)。この日が来るのを本当に心待ちをしておりました。これでやっと、肩の荷が下りたという感じでございます。本当にありがとう。」
再び開いた再審への扉。
袴田巌さん本人は13日浜松市浜北区にある寺を訪れるなどして、普段通り過ごしていました。
袴田さん:
Qきょうはどんな1日?
「まぁ勝つ日だと思う。勝つ日だと思う」
袴田事件を巡っては今から57年前まで時計の針が戻ります。
57年前
1966年、旧清水市のみそ会社で一家4人が殺害された、いわゆる袴田事件で、逮捕・起訴されたのが、当時みそ会社で働いていた袴田巌さん(当30)でした。
取り調べは、連日1日平均12時間にも及び、逮捕から20日目、袴田さんは犯行を自供。
裁判では一貫して無罪を主張しましたが、1980年に死刑が確定していました。
しかし、2014年には静岡地裁が、再審=裁判のやり直しを認定。
「死刑囚」の肩書のまま、袴田さんを48年ぶりに釈放するという極めて異例の措置が取られました。
地裁判決は2018年、東京高裁に取り消されましたが、その2年後に最高裁が審理の差し戻しを決定。
13日は東京高裁が、裁判のやり直しを認めるかどうかを決める重要な日となっていました。
小川弁護士
小川弁護士:
「決定の内容を見ると、もう犯行着衣ではないとはっきりと否定してくれているので、もう検察官は今まで何も立証をできなかったわけですから、もう抗告することは事実上できないと思う」