見通しがいいのに、ナゼ? 高速道路の工事現場で事故が多発 『運転支援機能を過信』『ながら運転』? 静岡県
こちらは夜間、高速道路での工事中、作業車に取り付けられたカメラが捉えた映像です。猛スピードで走行するトラックが、減速する様子も見せず作業車に激突。工事に気付いていないのか、通行が規制されている方へ吸い込まれるように向かっていきます。
別の映像では、白い乗用車が矢印板を跳ね飛ばしながら走行しています。無理に車線を変えたため、前を走っているトラックに危うく衝突しそうになっていました。これらは、高速道路の工事規制エリアでの事故が増加していることに警鐘を鳴らすため、ネクスコ中日本が公開した映像です。
こちらは見通しの良い直線ですが、トラックが一直線に向かってきて工事車両に突っ込みました。手前にある障害物に当たりながらも、全く減速せずに衝突しています。
こちらは「作業中」と表示された工事車両に、後方から来た白い車が側面をかすめるように衝突。映像をよく見ると、衝突の寸前、作業員が車をよけようとする姿が映っています。
ネクスコ中日本東京支社 企画統括課 羽島 大介担当課長:「静岡県内での工事でいうと、高速道路の路面舗装の補修工事やリニューアル工事をしている。老朽化した橋の床版という車を支える部分を取り替える工事を行っている。その関連で工事規制に関する事故が増加している傾向がある」
ネクスコ中日本によると、昨年度、静岡県内の高速道路の工事規制エリアで発生した事故はおよそ200件。この数は年々増加しているといいます。
見通しがいい道路で、ナゼ?
なぜ比較的見通しのよい高速道路上で、衝突事故が起こるのか。工事規制エリアでは1.5キロ手前から表示は出ているにもかかわらず、ギリギリまで車線変更をしない車もいました。
ネクスコ中日本東京支社 企画統括課 羽島大介担当課長:「最近運転支援機能を搭載している車も増えている。そのため、運転支援機能を過信して、前方を見ていないと思われる事故や、スマートフォンなどを見ながらの『ながら運転』による事故が増えているものと考えております。運転支援機能は工事規制材、矢印板など対して反応しませんので、必ず走行中は前を見て運転していただきたく思います」
現在、前の車の動きに反応して自動で減速や加速をしたり、車線を外れそうになると自動で軌道修正したりする運転支援機能を備えた車が増えつつあります。ただ、こうした機能は完全な自動運転とは異なるため、メーカー側もあくまで“運転を支援する機能”だとして注意を促しています。
警察庁も「一定の速度以上で走行している場合には、センサーが前方の障害物を検知することができず、運転支援機能が適切に作動しない場合がある」と注意喚起をしています。
工事規制エリアでの衝突事故は当然、前方不注意による事故もありますが、ネクスコ中日本によると、県内では新東名高速道路の区間は特に注意が必要だといいます。
ネクスコ中日本東京支社企画統括課 羽島大介担当課長:「静岡県は東名と新東名がある。新東名の方は東名に比べて、(カーブや傾斜など)走りやすい構造になっているので、なおさら(気を抜いて)目を離さないような運転を心がけていただきたい。高速道路走行中、時速100キロで走行しておりますと、1秒間に30mほど前進する。そのためやはりスマートフォンなどの『ながら運転』はしない、させない、許さないようお願いしたいと思っております」