こども園の送迎バスに3歳女児5時間置き去り…熱射病で死亡 警察は業務上過失致死容疑で捜索 /今週の静岡
静岡県牧之原市の認定こども園で、送迎バスに取り残された3歳の女の子が、熱射病で亡くなる事件が起きました。なぜ幼い命は失われたのか。ずさんな管理体制も明らかに。
急きょ園長がハンドルが握り
5日、牧之原市静波にある認定こども園 「川崎幼稚園」の送迎バスの中で、3歳の女児が倒れているのが見つかり、およそ1時間後、搬送先の病院で死亡が確認されました。死因は、重度の熱中症である「熱射病」でした。
伊地健治アナウンサー(5日 川崎幼稚園):「送迎バスの中に置き去りにされて亡くなった3歳の女の子が通っていた幼稚園です。場所は静波海岸の近く、牧之原市の住宅街の中にあります。規制線が敷かれ、中では警察による幼稚園の関係者への聴取が進められているものとみられます」
事件が起きた日、バスは午前8時半ごろ、園児6人を乗せ、午前8時50分ごろ、園に到着しました。このときバスを運転していたのは、急きょハンドルを握ったという増田立義 園長。普段の運転手は休みを取っていました。
バスには 運転していた増田園長の他に、補助する職員が同乗していて、助手席の後ろにある補助席に座っていました。女児が座っていたのは、右側の後ろから2番目の席になります。園児がバスに乗る際には、補助の職員が個別にチェックを行っていましたが、バスを降りるときには、チェックをしていませんでした。そして午後2時過ぎに職員が園児を帰宅させるためにバスに乗るまで、女児はおよそ5時間にわたって、バスに置き去りにされていたのです。なぜ日中、女児がいないことに誰も気づかなかったのでしょうか?
女児を知る住民:「(バスの)帰りに降ろすでしょ、たまに会う時は笑顔でちゃんとあいさつしてくれた笑顔は優しい、本当に柔らかな。いい女の子だった、この子はいい子になるなという思いがありましたね。かわいそうですよ、いまだに信じられない」
管理体制に問題は…静岡県警は業務上過失致死容疑で家宅捜索
事件の翌日、静岡県警は業務上過失致死の疑いで川崎幼稚園に家宅捜索に入りました。また、牧之原市内にある園長の自宅にも家宅捜索が。警察は、バスを降りたときや園内での確認など、管理体制に問題があったとみて捜査しています。
この日の朝 静岡朝日テレビは、亡くなった女の子の自宅を訪れたあと園に向かう増田園長に話を聞くことができました。
Q.バスは園長が運転されていた?
川崎幼稚園 増田立義園長(6日):「一応そういうことで、捜査を今やるので、誠に申し訳ございませんけど…」
Q.降りた人数の確認をしていなかったとの報道もあるが、そのあたりは?
A.「ちょっとすみません、今捜査中ですので」
Q.園に通う子とか、亡くなった女の子含めどのようなお気持ちでしょうか?
A.「(無言で歩く)」
園長は、警察と多くの報道陣が待ち受ける園の中へと入っていきました。
体温は40℃…服を脱ぎ、水筒は空っぽ
須藤誠人アナウンサー(8日):「女の子の遺体が見つかったバスが止められていた駐車場です。青いバスの横にそのバスは止められていたということです。この駐車場は園から歩いて3分ほどの場所にあります」
送迎バスは、朝、園の前で子どもたちを降ろした後、100メートルほど離れた駐車場に止められます。事件当日、牧之原市の最高気温は30.5℃と真夏日の暑さ。屋外に止められていたバスの中は、さらに高温になっていた可能性があります。およそ5時間、バスに置き去りにされていた女の子。発見時、体温は40℃ほどまで上がっていたとみられ、暑さに耐えかねてか、服を脱いだ状態だったといいます。その脇では、空っぽになった水筒が見つかっていて、高温になったバスの中で、女児が飲み干したとみられています。
女児のために設けられた献花台には、多くの花や飲み物などが手向けられています。
「なかよくしてくれてありがとう ずっとわすれないよ」
島田市 3児の母親(40代):「本当に可哀想だなっていう、なんでこんな…ありえないので。もう本当に時間が戻らないかなって」
焼津市 2人の子どもをもつ夫婦:「一番本当につらいなと思ったのが、水筒の飲み物を飲み干していたというのと、自分で服を脱ぐって、うちの子も同じくらいなんですけど、もし、そんなのしていたと思うと、もう可哀想で可哀想で。もう可哀想ですよね、本当に」
女児の友達でしょうか。「なかよくしてくれてありがとう ずっとわすれないよ」というメッセージも捧げられていました。
(9月10日放送)