旧優生保護法で不妊手術を強制 原告の全盲女性「国は間違い認めて」 静岡地裁浜松支部

 浜松市に住む全盲の女性が、旧優生保護法のもと不妊手術を強制されたとして、国に損害賠償を求めている裁判で4日、原告への本人尋問で、女性は「国は間違いを認めてほしい」と訴えました。

画像: 静岡地裁浜松支部

静岡地裁浜松支部

 浜松市に住む武藤千重子さん(74)は1977年、視覚障害を理由に、2人目の子どもを出産した後に旧優生保護法のもと、不妊手術を強制され、子どもを産む権利を不当に奪われたとして国に3300万円の賠償を求めています。

 4日、静岡地裁浜松支部で、原告への本人尋問が初めて実施され、武藤さんは自身の視力低下についてや出産から不妊手術までの経緯を証言しました。

 本人尋問で武藤さんは「2人目の子どもを出産した数時間後に、看護師から『3人目は生まないでしょ、手術した方が楽になる。子どもに障害が遺伝したら育てられるのか』などと言われ、印鑑を出すように言われた。男の子がほしかったので、返事はしなかったが、翌朝『手術を行う』と伝えられ、拒否できなかった」と説明。その上で、裁判所と国に対し、「私は裁判を受ける勇気があったけど、多くの人が苦しんでいる。障害者だから産めないとかではなく、産みたい人は産めばいい。国は間違っていたと認め、結果を示してほしい」と訴えました。

 一方、裁判の争点のひとつとなっているのが、不法行為から20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなる「除斥期間」の適用です。これまでに国側は「手術から20年以上が経過し、賠償を求める権利が消滅している」と主張していて、訴えを退けるよう求めています。

 12月25日に開かれる次回の裁判で、すべての審理が終わる見通しです。