父を事故で亡くした悲しみを胸に 通学路の子どもたちを見守り続ける女性交通安全指導員 静岡・三島市
「交通事故を一件でも減らしたい」。5年前、父親を交通事故で亡くした静岡県三島市の女性が、交通安全指導員として 子供たちの登下校を見守っています。
「おはようございます」
三島市徳倉午前7時半ごろ。
交通量の多い十字路で通学中の児童に声をかけているのは、坂本杏梨さん(32)です。
杏梨さんは、おととし8月三島市の交通安全指導員になりました。
坂本杏梨さん:
「交差点で交通指導員が立っていたりすると、ドライバー自身も気が引き締まるんじゃないかなと思って、私もできるときに朝、夕方こうやって旗振りをして、事故を防げるように動き始めています」
きっかけは父の死
きっかけは父の死。
杏梨さんの父、仲澤勝美さんは2019年1月、勤務先から原付バイクで帰宅途中に車にはねられ、亡くなりました。
当初、勝美さんをはねた車の運転手は、勝美さんが信号を無視したと話し、警察もメディアに対し、そのように発表しました。
これに疑問を抱いた杏梨さんら遺族は、事故の目撃情報を集め、車側が信号を無視していたことを明らかにし、刑事裁判でも車側の過失が認定されました。
杏梨さん:
「加害者に対する憎しみというか、そういう気持ちのほうが強かったんですけど、一件でも多くの事故を減らそうって」
父のような悲劇を繰り返さないように
指導員はボランティア。
交通安全運動期間中は早朝から街頭に立つなど、3人の子どもを育てる杏梨さんにとって負担は軽くはありません。
それでも勝美さんのような悲劇を繰り返したくない
という思いを原動力に、これからも通学路に立ち続けるつもりです。
杏梨さん:
「交通事故を減らそうと頑張っている姿を(見てもらって)、父に安心してもらいたいなって思っています」