【袴田事件再審開始決定】争点の5点の衣類について 東京高裁「第三者がタンク内に隠匿した可能性否定できず」

 いわゆる袴田事件で、東京高裁は再審=裁判のやり直しを認めました。今回争点になっていたのは、事件から1年2カ月後に見つかった5点の衣類です。

画像: 争点になった5点の衣類

争点になった5点の衣類

 袴田事件とは、1966年に旧清水市でみそ会社の専務一家4人が殺害された事件で、従業員だった袴田巌さんが逮捕されました。袴田さんは裁判では一貫して否認していましたが、1980年に死刑が確定しました。

 争点になっている5点の衣類とは、犯行時に袴田さんが着ていたとされる半袖シャツやブリーフなどで、事件発生から1年2カ月後に現場近くの工場のみそタンクから見つかりました。

 当時の捜査資料には、血の色について「濃い赤色」と記されていますが、弁護側はみそに漬かった状態で1年経てば「赤みは消え、黒っぽくなる」として、証拠はねつ造されたものだと指摘していました。

 一方の検察側も2021年9月、血のついた布をみそに漬ける実験を開始。1年2カ月後に取り出した結果、「血痕には赤みが残る可能性がある」と主張していました。

 東京高裁は「1年以上みそ漬けされた5点の衣類の血痕には赤みが残らないことが認定できる」としたうえで、「第三者がタンクに隠匿してみそ漬けにした可能性が否定できない」と指摘しました。