『弾丸登山』『軽装』遭難相次ぐ富士山…8月は去年の6倍 静岡県警はSNSに映像アップして注意呼びかけ「標高が上がると荒れるのが山」
シャトルバス乗車前に新型コロナ対策
白木愛奈アナウンサー(水ヶ塚公園 富士山2合目):「雄大な富士山、近くで見るとやっぱり大きいです。迫力がありますよね。登山者は混雑防止のため、ここから5合目までシャトルバスで向かいます。乗車前に新型コロナ対策として体調の確認、消毒、検温が行われていて、クリアした方にリストバンドが配られています」
今年もコロナ禍での登山シーズンを迎えている富士山。3年ぶりに行動制限のない夏、登山客に対しては、登山口で検温や消毒、体調確認を実施し、異常がなければリストバンドが渡され、入山できます。
「下山できなくなった」「疲れて動けない」 目立つ疲労による遭難
そんな富士山で今、問題となっているのが─
白木アナ(富士山富士宮口5合目):「5合目まで来ました。きょうも多くの登山者が訪れています。ただ十分な準備もせず、山岳救助隊に救助されてしまう事案も発生していて、入り口にはこのように看板が設置され、注意が呼びかけられています」
5合目の登山口には、宿泊など十分な休息を取らずに一気に登る、いわゆる「弾丸登山」に対する注意書きが…
静岡県警によると、今月1日から22日までの富士山での遭難件数は25件。去年の同じ期間が4件だったのに比べ、6倍以上に増えています。
中でも、半数は「登ったものの、下山できなくなってしまった」「疲れて動けなくなってしまった」など疲労による遭難だということです。さらに、「弾丸登山」以外にも-
半袖、短パン、ビーチサンダルの登山者も…
神奈川からの登山者:「半袖、短パン、ビーチサンダルで登っている外国人はいた。すごいなというか最後までいけるのかなと。(登頂は)無理だなと思った。その時にすでに寒かったので、厳しいんじゃないかなと思った」
福岡からの登山者:「たまに軽装備の人がいる。初心者あるあるかもしれないが、ちょっと山に慣れてきて、もうサンダルでいいだろうっていう人がいるが、結構事故が起こったりという話も聞くので」
登山の備えが不十分な登山者が後を絶たないと言います。
白木アナ:「15分ほど登ってきたんですけど、想像よりも道が急で足元に岩が多いんですよね。不安定だということで、山頂まで登るならばしっかりとした装備が必要ですね」
富士山登山のスタート地点になることが多い5合目から6合目までは、およそ30分の道のり。その道のりも、険しいものです。
怖い「山の天気」 雨具の準備も必要
取材中にもこんな事態が─
白木アナ(富士山富士宮口6合目):「先ほどまで青空も見えていたんですが、急に雨が降り出しました。気温も14℃まで下がって、とても寒いです」
「山の天気は変わりやすい」。午前中の快晴から一変しました。
富士山に、ほぼ毎年登っているという、山岳トレーナーは天候について。
日本アウトドアトレーニング協会 都築洋介代表理事:「天候が崩れた時の装備を持ってない方が多かったりするので、雨具の準備をちゃんとされてない方たちが山頂まで行けずに帰ってきてしまうことが多い。(登山は)他のスポーツと違って、途中で止めることができないので、条件しっかり見ながら登って頂けるといいい登山になるんじゃないかなと」
また、これまでに2000回以上、富士山に登頂しているベテランも今年の遭難者の急増に不安を口にします。
2138回富士山登頂 實川欣伸さん:「一気に登山者が増えた感じ、恐ろしいくらい。今年は確かに遭難する方が多い。やっぱり軽装、低体温症になる方が多い。それから滑落。生涯一度は登りたいっていう憧れの山なので、自己責任で怪我をしないように、皆さんに迷惑をかけないような状態で登って頂きたいと思う」
県警はSNSに映像アップして注意呼びかけ
こうした事態に、県警もSNSなどを使い注意を呼び掛けています。
こちらは8月16日の富士山。標高2400メートルでは、風は強いものの、青空も覗いています。
しかし、山頂はこの天気。県警は「基本的に標高が上がると荒れるのが山」としています。
そして、18日に6合目の山小屋に待機中の救助隊員が撮影した映像。この天候だと救助も困難なので、登らないでほしいと呼び掛けています。
静岡県警山岳遭難救助隊 坂上雅信隊長:「富士山は日本一高い場所であるということをよくわかっていただきたい。一見すると、ちょっとすぐ行けるかなというふうに見えてしまうが、実際登ってしまうと、登りにも大変な時間を要するし、下りにも大変時間を要するので、日本一高い場所に行くんだよということをよく考えて、登山をしていただければと思う」